「覗かれた夜」でも書いた通り、私は幼い頃から見えたことはありません。
ただ、感じたりときには声や音が聞こえたりはしますが。
見えないということは、ある意味普通に生活できるんだと思ってきました。
私には二人姉がいて、すぐ上の姉とは小学生〜中学生まで同じ部屋で過ごしていました。
その姉が中学生のとき、もう毎日のように見ていて、翌朝になると必ず私に報告をしてきました。
姉は決まって深夜1時〜2時くらいに金縛りにあい、そのあと見てしまうようでした。
部屋は二人の勉強机が両サイドにあり、真ん中に二段ベッド(姉が上、私が下)、窓際には二人掛けソファがある配置でしたね。
姉が体験したことをいくつか紹介します。
修学旅行の写真が出来上がり、友人とはしゃぎながら一枚ずつ眺めていたところ、いきなり友人が泣いて突っ伏してしまったそうです。姉が写真がどうかしたのかと見ようとすると「怖いから見ないで!」と止め、泣きじゃくるばかり。気になる姉はそれでもと嫌がる彼女の手を払い、見ると…
写っていたようです。
京都のとあるお寺の裏手に古井戸があり、それをバックに担任と友人姉の三人で撮ったもので、周囲に誰もいないのを確認してから撮ったのに、友人の後ろにセーラー服&おさげ髪をしたやけに色白(透き通るほど青白く明らかに人間でないと一目瞭然)な女の子が俯いて立っていたようです。足元を見るスカートの膝あたりから下がなく、姉も瞬間わかったらしく。
その夜、ベッドに入り写真のことはすっかり忘れ眠り込み、深夜になりふと目覚めました。
月明かりで部屋は薄明るく、カーテンをしめ忘れてたと、上体を起こし窓のほうへ体ごと向けたとき…
その女の子が窓際に立ち、俯いていたんです。
姉の方に向かい立ち、姉は金縛りで硬直状態。
その時姉の頭のなかに聞こえてきたのは
「あんまり楽しそうにしていたから、着いてきた」という呟きでした。
恐怖が押し寄せ、冷や汗が流れた瞬間
「なにっ!なんなの!?」
私がジャストなタイミングで寝言を言い、同時に女の子は消え金縛りも解けたそうで。
それからは私が何か寝言を言うと金縛りが解け見えなくなると悟った姉は、毎回私の名前をどうにかして呼ぶか、ベッドをきしませて寝返りうたせたりして、寝言を誘発していました。
私は救世主だったみたいです。
怖い話投稿:ホラーテラー ちっちゃこさん
作者怖話