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短編2
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ごめんな・・・。

ある日、56歳になる父が認知症になった。

認知症と言っても、もともと温厚で穏やかだった父は怒ることもなく、

ただ、ただ、穏やかに同じ事を繰り返しいったり、物忘れをした。

医師がいうには認知症としてはまだ軽いケースだ。

とのことだった。

同時に、医師は俺と母さんにこう告げた。

「お父さんは末期の肺ガンです。もう命はながくないでしょう。

もっても・・・あと2ヶ月です。」

俺と母さんは愕然とした。

ひとりっ子だった俺を

特にかわいがってくれたのは父だった。

俺がいたずらや、父が大事にしていた花瓶を割ってしまったときも、

笑顔でわらって許してくれた。

いつもいつも、穏やかでやさしい父だった。

そんな父との最後の思い出作りをしようと、毎日

病院に見舞いに行った。

それから一ヵ月後のある日、

病院から少しの間家にかえってもいいという許可がでた。

俺はその次の日の翌日、父を車椅子に乗せて近くの海にいくことにした。

この海は父さんと最初に釣りに行った場所だった。

俺「父さん、ここは俺と父さんが初めて

釣りに行った場所だよ。覚えてる?」

父「あぁ・・・。」

俺「元気になったらまた一緒に釣りしたいね。」

俺は、元気になるわけなんかないことは知っていたのに、

何故かそんなことを言った。

父「あぁ・・・。」

父「なぁ・・・。」

俺「ん?どうしたの?」

父「ごめんな・・・。

お前が誰だったのかどうしても思い出せないんだ。」

俺「いいんだよ。父さん、そう言う病気なんだから。」

俺は必死で涙をこらえた。

それから一月後に父は他界した。

父は天国にいった今、

俺のことを覚えてくれているだろうか。

そして、気のせいだろうか。

たまに父さんの墓参りに行くと、

父さんが墓のよこにいるのが見える。

父さんは俺のことをわすれたことを悔やみ、

成仏できないのだろうか。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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