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短編2
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ゴン

僕が昔飼っていた犬の話しです。

8年前の事。

我が家に一匹の犬がいました。

名前はゴン。(フルネーム、ゴンザレス)

ベタベタの雑種犬で、目の周りと口の左側が黒く、(眼鏡を掛けている感じ)とても愛嬌のある奴でした。

高校を卒業して間もなく、ゴンは亡くなりました。

死因は老衰によるものでしたが、前日まで至って元気にしていました。今思うと僕達に心配を掛けないようにしてたのかと思います。

小学生の時から一緒だったから、その日はずっと、ずっと泣いていました。

亡くなる前にあまり散歩や、遊んであげられ無かった事が悔やまれて仕方ありませんでした。

2ヶ月程後、仕事を終えて帰る途中何気なく車のサイドミラーを見ると、一匹の犬が僕の車を追いかけて来るのが目に入りました。

『あれっ!ゴン!?』

あの愛嬌のある眼鏡面。

間違いなくゴンが僕を追って走って来ていました。

急いで車を道の端に止め、車から降りて後ろを確認したのですが、ゴンの姿はもうそこにはありませんでした。

あれは間違いなくゴンでした。

それは愛嬌のある顔だけでなく、ゴンは鼻を少し上げて走る癖がありました。

鼻を上げ、楽しそうに走る姿は紛れもなくゴンそのものでした。

10分程その場でゴンの姿を探していたのですが、何処にも見当たらなく諦めて車を走らせました。

暫く走ると、大通りと交わる交差点の手前がいつもでは考えられないくらい渋滞していて、周りからはパトカーと救急車のサイレンが鳴り響いていて、渋滞の原因は事故だと分かりました。

信号無視の2tトラックにタクシーが突っ込み、その後に3台の車が玉突きを起こし、2人が亡くなった大きな事故でした。

その日の夜、家では事故の話しで持ちきりでした。

話の合間に僕が帰る途中にゴンを見た事を話すと、最初は幻覚だとか、寝ぼけてたんだ、など言われてたけど、母がこんな事を言い出しました。

「ゴンが現れてくれ無かったら、アンタも今日の事故に巻き込まれてたかもね」

部屋に戻りベットに座りながら、

『あの時もしゴンを見かけていなかったら、丁度あの事故のあった時間に交差点付近にいただろう。そうか…、ゴン。お前俺を助けてくれたんだ…』

ゴンが亡くなる前に、何もしてあげられ無かった僕なのに…。そんな僕なのにゴンは助けてくれたのだと確信すると同時に、僕の目から止めどうもなく涙が流れ落ち、僕はその場に泣き崩れました。

ありがとう。

ゴン。

怖い話投稿:ホラーテラー サスケさん  

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