短編2
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パンダおじさん2

その日、私は友達と夕方まで遊んだ

友達が帰り、私も家に帰ろうとしたときおじさんが現れた

おじさんは夕方の散歩が日課なのだ

「おっおっ」と言いながら近づいてくる

無視して家に向かっていると何かを持って走ってきた

とっさに私も走り家に入るのも忘れ逃げ回った

そして追い詰められたんだが

「僕は

空を

自由に

飛べるんだよ」

と言いながら、カレンダーの裏に描いた顔のあるヘリコプターの絵を差し出してきた

「この絵をあげる」とおじさんが近づいてきたが、一瞬の隙をつき逃げた

家に帰りまっさきにばあちゃんにその事を言った

「そんなことするかねぇ」

というだけ

やはりあの姿は子供しかしらないのかと苛立った

それからだ

おじさんは学校の帰りに軽トラで現れるようになったのだ

帰る方向の同じ女の子六人で帰っていて、おじさんを知っているのは近所の私ともう一人だけ

あとの子は

「なにあの人」

と半分おもしろがっていた

おじさんは運転をしながら、あのヘリコプターの絵を見せてくる

そしてしばらくすると消えるのだ

そんな日が何日か続いた

どうやらおじさんに気に入られてしまっていた

中学生になり、おじさんの事を私達は「忠太(ちゅうた)」とおじさんの本名で呼ぶようになった

パンダも実際は女の絵だったし…

小学校の時と変わり外であまり遊ばなくなり、忠太を見ることは少なくなったが、夕方の散歩の時私の家の前を通るとき「おっおっ」と言うようになった

それでばあちゃんも

「なんか気持ちが悪いね」と言い出した

忠太は大人たちにも「その姿」を見せるようになったのだ

それから行動がエスカレートしていった

うちのポストに週刊誌とペロペロキャンディを入れたり

友達の家の前で軽トラの荷台に上がりラジカセを流しながら歌を歌ったり

ぞっとしたのは、家の飼い犬は大人しかったが忠太が来た時だけ吠える

「おっおっ」と言いながら忠太が家の前を通っているが犬が吠えない

おかしいなと思って犬を見たら忠太がネズミを持っていて犬はそれをじっと見つめているのだ

ネズミを持ち歩くなんて…

高校生の頃は忠太に軽トラで引かれそうになった

腹がたち警察に行ったが苦情は来ているが事件を起こしてないとのことでどうもできないらしい

18になり仕事についた

その職場でも忠太に悩まされることになる

怖い話投稿:ホラーテラー シュワさん  

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その後の忠太の話聞きたいなぁ~

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