続きです。
そのアパートは、いつも帰り道に気味悪いと思っていたアパートでなるべく近づかないようにしていました。
夜はただでさえ不気味なそのアパートは、その日に限って廊下の灯がついていなくて、まるで廃墟のようでした。
廊下の灯がついていないと言いましたが、その廊下というのは、トンネルみたいになっていて、トンネルの両側の側面のところに部屋のドアがあるという状況です。(分かりにくくて、すみません)
その廊下の灯がついていないということは、つまり真っ暗ということです。
こんなところに人が本当に住んでいるのかなあと、通り過ぎながらアパートの窓を見てみました。
いくつかの部屋に灯がついていました。
こんなアパートにも人が住んでるんだなあ。どんな人が住んでるか見てみたいなあなどと思っていました。
僕はいつのまにか、そのアパートに見入っていました。
通り過ぎた後も、後ろ歩きをしてアパートを見続けました。
さすがに飽きて、もういいやと思い、振り向いたその時でした。
バッ!!(振り向いた音)
僕は恐怖のあまり、声もでませんでした。
全身の毛穴がブワっと開いて、その場で一瞬固りました。
なんと、そこには、ほぼ全裸の身長190cmくらいの中年男が立っていました。
イアホンで足音がきこえなかったから全然気付きませんでした。
この時点で大半の人には、ただ笑い話でしょう。
その時、中年男と僕の距離は30cm。
笑いごとじゃありません。突然、視界にほぼ全裸の中年男(大)が入ってきたんです!
殺される!
そう思いました。
ところが、その男は僕と少し目があったあと、そのまま通り過ぎて行きました。
腰を抜かしそうになりながら、男が振り返って追いかけてこないかと恐る恐る見ていると…
!!!!
なんと、男はさっきのアパートへ!
そして、そのまま真っ暗な廊下へ入って行ったではありませんか!
良かった良かったと思う人もいるかもしれませんが、とんでもないことです。
そのアパートの20mいったところには僕の家があるんです!
そう、僕はほぼ全裸の中年男(大)のご近所さんだったのです!
それ以来、あのアパートは『恐怖のアパート』と名付けられました…
怖い話投稿:ホラーテラー おちいのちさん
作者怖話