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短編1
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重複憑依

 F県に住んでいる俺の家族は、実に良く霊を見ます。

 弟は、お盆の夜にトイレに行き、部屋に戻る途中に襖が閉まっている座敷へスゥーっと入っていく白い着物の霊を見ました。

 俺は、一時期良く昼夜問わずに金縛りに会いました。

金縛りの最中は必ず、顔面が血塗れの女が部屋までの階段を登り近づいて来て、

『…殺してやる…』

と言うのです。

 あれは俺が高校1年くらいの頃の母の実体験談。

俺の母は霊感が強く、度々霊に憑依されていました。

その度に隣町T市に居る霊能者にお祓いを受けていました。

 ある日、母は身体が重いと訴えていました。

その日は夏の暑苦しい時で、いつも母は父と座敷で寝ていました。

その日の夜に母は金縛りにあったらしいです。

金縛り中でも目だけは動くらしく、真っ暗な座敷を見回していたみたいです。

すると、自分の脚から自分の脚とは違う脚がはみ出ていたのを見たというのです。

 翌日、母がいつもの霊能者の家へ着くなり、

『今日は3人も連れて来たのね』

と、まだ母が話す前に先に言われたそうです。

無事にお祓いは終わりました。

 それ以来、俺の家族は余り霊に憑かれることは無くなったのですが、その霊能者は亡くなってしまい、今度霊に憑かれたらどうしようかと思っています。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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