前回、夫ふくむの家族のことを記載しましたが、今回は夫のことを(ここ数年のこと)お話しします。とくに怖いものではないです。
私個人では、そういうこともあるのかと思った出来事を紹介します。
夫とは結婚するまえから、一緒に住んでいたのですが、ふとした瞬間によく玄関のほうを見ていることに気付きました。
部屋は玄関から廊下がのび、右側には洗面台&脱衣所とバスルーム、トイレ。左側にはベッドルーム。
その先にリビングダイニングとサービスルームという間取りのマンションで、リビングダイニングからはガラス付きドアから玄関までが見渡せるような構造でした。
どうしたのかと尋ねると、
「いや…なんでもない」と言うのですが、それからも玄関を気にして見るので、私も気になりちゃんと話してほしいと頼みました。
すると、
「私にはわからないだろうし、わざわざ話すこともないんだけど…この家にいるんだよ、女の子が。でも、ただいるだけだから大丈夫だからね。」
と言うので、正直その時は驚きました。
最初、女の子の存在に気付いた夫はその子が何か言いたげにいたので気になっていたようです。
しかし、玄関に立ちすくむだけでそれ以上入って来ないことと、訴えることもなかったので、誰かについているのではなく『マンションもしくは土地にいる』だけだと思い、念のようなものも感じないため、そのままにしておいて大丈夫だと言いました。
私にしてみれば、彼と知り合う前からずっと住んでいたマンションなので、かなり引きました…。
結婚してしばらくは住み続けましたが、昨年引越しそのマンションからは離れました。
引越し当日、業者さんと新居に向かい、荷物を運びこんだあとに、掃除をするためそのマンションに戻り、一通り綺麗にしました。
夜でしたし、雨も降り始めていたので早々に車へ戻ろうとした私に
「ちゃんと挨拶していって」
と夫が言いました。
たしかに私は10年の間住んだ家だったので、お世話になりましたありがとうと玄関から室内に向かってお辞儀をしました。
エントランスから出るときにも
「また挨拶してね」と言われたため、ここでもやるの?と若干変なの…と感じながらも同様にお辞儀をしました。
夫は長めに手を合わせていましたが、車に乗り走りだしてから話し始めました。
「よく女の子がいると言っていたよね?あの子が誰もいなくなるのが寂しいようで下まで着いてきていたんだよ。あと、何人かあのマンションにいた人達も一緒に来たからさ。やっぱり長い間過ごしたんだから、感謝の気持ちで挨拶はしないと。ちゃんと気持ち込めてなかったでしょ?だから、『それだけなの?』って下まで来たんだよ。」
私はそんなことがあるのかと半信半疑でしたが、夫は淡々と「感謝してることがわかったから、それ以上は何もないし着いて来てもないから。」と言いました。
新居に入るときも「よろしくお願いします。」と挨拶をしましたが、入る前に夫が目を閉じ何か確認していたことが気になりました。
「何もないから大丈夫。」
深い追及はせず、それからも暮らしています。
結婚して私の実家に帰省したときのこと。
夫はタバコを吸うため外に出ました(実家両親は吸わないので、室内は禁煙となっているため)。
しばらく戻って来ないので、どうしたのかと外に出ると少し離れた場所に夫は立っていました。
家に入るよう言うと、入るなり仏間に向かい、手を合わせていました。
リビングに戻ってすぐ
「門の外でタバコを吸っていたら、庭に人がいてね。ちょうど駐車場あたりなんだけど。そこから家を眺めてる感じで立っていたんだよ。誰かな?なんか見たことあるなと思ってよくよく見たら、おまえのお祖父さんだったんだ。何て言うか満足そうに家を眺めている感じでね。ずっと家を見ていたんだよ。」
夫は仏間にある遺影の祖父だとわかったといいます。
祖父は実家を新築して移り住み、一ヶ月後に急に倒れそのまま帰らぬ人となったのです。
父が建てた新居に住むことをずっと楽しみにしていて、新しく備え付けた神棚がとても気に入り、喜んでいました。
立派な家を建てるまでになったと父にも涙を流しお礼を言ったそうです。
ちょうど祖父が立っていたのは、生前よく過ごした仏間の前あたりでした。
夫は
「先祖の方々があの家と家族を守っているから大丈夫。」と言います。
私はおじいちゃん子だったので、その話を聞いてとても胸が熱くなりました。
余談で…
よく
守護霊は必ずいると聞きますが
夫には分かるそうなのです。
ありきたりですが、私にはいるかどうか尋ねたところ
「お祖父さんとお母さん」と言うではないですか(汗)
母は健在なので、生きてる人間も守る側につくのかと聞くと、生きてる人間でも気になる人やいつも心にいる人のそばにいるんだよ。
私を守るべく意識しているんだろうね
お母さんはいつものようにニコニコしているよ
と言いました。
恐いような嬉しいような…
家族の絆をあらためて考えさせられる出来事でした。
怖い話投稿:ホラーテラー まみ〜さん
作者怖話