4月21日。
リョースケは1番の「1」を。
ケンゴは形が好きだという「8」を。
テツジはその日の日付の「15」を。
ある男の問いに彼らはそう答えた。
汚らしい格好をしたその男は、彼らから聞いた数字を紙に書き写すと、
それをそれぞれの数字を言った者へと渡した。
男は一言。
真っ黒な笑みを浮かべながら、
「この紙の数字は忘れるな、一生で一番大きな意味を持つ数字だ」
これだけ言い残すと男は去っていった。
男の空気にのまれてしまっていた。
現にさっきの言葉が忘れられない。
1年後の、リョースケが死んだ。
目玉をえぐられ、鼻と耳を削がれ、口は引き裂かれ、首は身体と繋がっていなかった。
それから7年後、ケンゴが死んだ。
リョースケと同じ死に方だった。
ある日、雑踏の中、テツジはなぜか、8年前のあの男を思い出していた。
それと同時に自分の数字を思い出していた。
すべてが鮮明に頭の中に映し出されていた。
7年後、テツジも死んだ。
リョースケ、ケンゴと同じ死に方だった。
3人とも4月21日に死んだ。
テツジは死の前日に
「俺は明日死ぬ。あの男が見ている」
そう私に言い残した翌日に死んだ。
私の身体はもう数百年以上前から動いてくれない。
食べ物も、水すらも口にしていない。
どうして、どうやって私は生きているのだろうか。
ここはどこなのだろうか。
人にも、動物にも、植物にすら触れてない・・・いや、見てすらいない。
私の誕生日は11月29日。
私があの日答えた数字は「1129」
私はあと何年すれば死ぬのだろうか。
あの男は、まだ、来ない。
怖い話投稿:ホラーテラー msさん
作者怖話