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短編2
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ロッカー(続き)

続きです。

真っ赤に泣き腫らし、涙、鼻水、よだれで顔がグシャグシャでシャツとズボンにはなぜか血がにじんでいた。

「どうしたんだっ!何があったんだ?」

ロッカーの中に立っていた彼は崩れ落ちるように四つんばいになって這い出てきた。

体中ガクガクと震え立てないようだ。

「@§#&※♂△☆±≒▼∃*」

泣き喚きながら意味不明な言葉をを絶叫している。

よくよく聞いてみると「ドアが開かない」とか「誰も開けてくれない」とか言ってるようだ。

学校中が大混乱になり、Iは即座に病院に連れていかれた。

先生たちにいろいろ聞かれたが、こっちにもさっぱり訳が分からない。

私たちがいじめで閉じ込めたわけではないのだ。

後で分かったのだが、Iは授業開始数分で飛び出すつもりだったという。

それまでわざと軽く音を立ててみたりしていたのだ。

そして「いざ!」という時に扉が開かなくなったのだと。

ロッカーの扉は押せばしまり、引けば開く単なるフタの役目しかしていない。

授業も半分を過ぎるころからIは本気で助けを求めだしたという。

扉を内側からガンガン叩き(これでこぶしを切り血が出てきたようだ)大声でわめき、つま先でけり続けた。

しかし、教室内はまったくの無反応、まったく音に気づく様子はない、授業の様子はロッカーの中にも聞こえてくるというのに。

Iはその後助け出されるまで気も狂わんばかりに絶叫しつつ扉を叩き続けたという。

教室内の私たちはその時授業をしていた先生も含めて、叫び声どころかノックの音すら聞こえなかった。

Iがわざと立てた物音以外にはまったくの無音だった。

普段ならまだしも、Iが飛び出してくるのを期待して集中していたにもかかわらず。

幸い、Iはごく軽い怪我ですんだ。

行方不明にも精神病院送りにもならなかった。

Iが無事だったおかげで、いじめではなかったことが証明された。

彼は扉に付けられた数個の細長いスリットを通して見ていたのだ、私たちが何もしていないことを。

そして、まったく自分に気づいてくれず、完全に無反応な教室内を間近に見ながら泣き叫び、血が出るまで扉を叩き、助けを求めていたのだった。

怖い話投稿:ホラーテラー Lさん  

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