短編2
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神隠し

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突然ですが、僕は怪談が好きです。

でも、怖いのは苦手です。

不思議なものでそれでも聞いてしまう、読んでしまうのだから友達からは「変なの」と、よく言われます。

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そんな僕が、ネットで知り合った友達から怪談を話合うサークルへと招待され、そこで聞かされたお話です。

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「私はしがないサラリーマンです。

会社へ行き、仕事をし、アパートへ帰る。

そんな日々を送っている私ですが、子供の頃に奇妙な、神隠しと言える体験をしまして。

それをお話しようかと思います。えぇ」

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 あれは私が10歳そこらの時でしたか、私は彼岸の日に家族でお墓参りをしに行きまして、そのお墓というのが母方の曽祖父・祖母のお墓なんですが。

 場所はそうですね、森の中、所々朽ちて歩くのも少し危なっかしいとこでした。

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 でもね?そのお墓参りは無事に終わったんです、何事もなく。

 お墓の苔を父親と一緒にタワシで擦って取って、水掛けて綺麗にして、母が花を活けて線香を炊く。

 結構楽しかった記憶があります。

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 それで、お墓参りも終わったし帰ろうってことになりまして、車に乗り込もうとしたときにですね、祠が見えたんですよ。

 少し古びた祠。

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 去年来たときにはそんな祠無かったので不思議に思いまして、母に聞いたわけです。

 

「あそこに何かあるよ〜?あれ何?」と。

 すると母も祠を初めて見たのか

 「なんだろうね?こんな祠無かった筈だけど…」

 「ここを管理してる寺の人がどっかから持ってきたんじゃないか?」と父。

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 私は祠を近くで見てみようと思い、車から降りて近づきました。

 母が

 「満足したら戻ってくるんだよ〜?」

 と言うので

 「はーい!」

 と返事をしながら。

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 そこから私は祠に近づいていった訳ですが、どうゆう訳かそこからの記憶が無いんですね。

 気づいたら母に泣きながら抱きしめられていて、周りはすっかり暗くなっていました。

 後、警官の人も数人来てましたね。

 私は何がなんやら。

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 後日、母に話を聞くと、私が祠に触った途端消えてしまったそうです。忽然と。

 母はその光景を見ていたらしく、慌てて祠に向かったそうですが、私の姿はなく、それを見てた父も慌てて車から降りて必死に探してくれたそうです。

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 その後警察も呼んで事情を説明して一緒に探していたそうです。

 しかし、一向に見つかりません。

 辺も暗くなった所でもう諦めよう。と、車の前で警察の人が言うや否や祠の前で倒れている私を母が見つけたそうです。

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 「これが私の神隠の様な体験でした。皆さんが思うような怖さは無かったでしょうけど、神隠しは何十年と見つからない人も居ると聞きます。そう考えると、また違った怖さがありますね。親が死んでしまった後に私が子供のまま見つかるなんてゾッとしない…」

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