短編2
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のぞき穴

また他のサイトから持ってきました。ここにあったらごめんなさい。

大学生の男は古いアパートで一人暮らしをしていた。

男の部屋の壁には、小さな穴が開いており、そこから隣の部屋の様子をのぞき見ることができた。

隣の入居者は若い女性。

女性はのぞき穴の存在に気付いていないため、男はのぞき行為を続けていた。

そしてある日。

夜中の3時をまわった頃、男はドスドスという物音で目を覚ました。

何事かと思えば、隣の部屋から聞こえてくる音だった。

もしかして男でも連れ込んだか?と思い、喜んでのぞき穴を覗いた。

隣の部屋も電気を消しており、詳しい様子を知る事はできなかったが、人影が二つあることは確認できた。

これは間違いないと男は興奮したが、すぐに様子がおかしいことに気がついた。

男と思われる大きな人影は動いているが、女性のほうは全く身動きしていないのだ。

暗がりに目が慣れてくると、衝撃の事実が分かった。

男が女性を殴りつけている。

女性は猿ぐつわを噛まされているらしく、微かに「うっ」という声を漏らすだけで悲鳴をあげられないようだ。

最終的には呻き声も聞こえなくなった。

すると男の人影は隣の部屋から出て行った。

強盗だ!

男は警察に通報しようと思い、電話の受話器に手を掛けたところで動きを止めた。

もし通報すれば自分がのぞきをしていたことがばれてしまう。

自分の保身のために、男は通報をしなかった。

一週間としないうちにアパートに警察が押しかけてきた。

やはり隣の女性は殺されていたらしい。

当然、警察はのぞき穴を発見し、何か見なかったかと男に聞いた。

男は「壁の穴なんて気付かなかった。その日もなにがあったか気付かなかった」と言った。

警察は男のことを疑っている様子は無かった。

殺人の瞬間を目撃したことは忘れられなかったが、通報しなかった事への罪悪感はすぐに薄れていった。

事件から二週間たっても、犯人は依然として捕まらなかった。

そしてある日の事。

夜中の3時をまわった頃、男は再びドスドスという物音で目を覚ました。

しかし、隣の部屋は事件以降、新たな入居者は入っていないはずだ。

恐る恐るのぞき穴をのぞいて見たが、動くものは無い。

気のせいか、と思い穴から離れようとした瞬間。

狭い穴の視界を埋め尽くすように、かっと見開かれた血走った目が現れた。

「見てたくせに。」

怖い話投稿:ホラーテラー Lさん  

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