短編2
  • 表示切替
  • 使い方

緑の丸い球

大学の友達から聞いた話なんだが語らせてくれ。

そいつの名前をAとでもしておこう

nextpage

先月ぐらいにAは彼女を連れてK県にある鍾乳洞に行って来たんだ

その帰りの高速で変な物を見たんだと

Aが言うには“デカくて緑がかった丸いヤツ”がフワフワ浮いてたらしい

nextpage

そんな変な奴が居たらビビって近くのSAにでも入っちまいそうなもんだが

不思議とそんな気にはならなかったらしい。

結局そのままその緑の丸っこい奴に近づいて行った

近づいて気づいたのは、

nextpage

そいつの真ん中に彼女の顔が見えたらしい

nextpage

shake

それが見えた途端急に車が激しく揺れ始めた

そして、その緑の丸が一気に車に近寄って来た

nextpage

気づけば車の外は真緑になっていたらしい

彼女は助手席頭を抱えてうずくまっていて、

Aもハンドルを掴みながら震えていた

恐ろしいほどの無音の後

外が高速の風景に戻った

nextpage

Aが左右を見ても何もいない

車内にも何もいない

nextpage

で、結局今に至るのだと言う。

ここからがおかしいんだ

俺はAに「彼女はどうだったんだ?」と聞いた

そしたらAは「彼女?」なんて言いやがる

ふざけているのかと思ったがそうでもなさそうだった

nextpage

俺は、Aの彼女の知っていることを全て話した

一生童貞だと嘆いていたAに初めて彼女ができた時の事

ディズニーに行って来たんだと写真を見せて来た時の事

俺にも紹介したいと言って居酒屋で3人で飯を食った時の事

それでもAは、何も知らないの一点張りだ

nextpage

俺はAの彼女に電話をした。

Aがキチガイにでもなったのだろうと思いながら

「はいもしもし」そう言って来た電話の先の人物は、

nextpage

知らないおっさんだった。

俺は絶句した。

俺の知っているAの彼女はどうしちまったんだ。

Aは確かに、彼女がいたんだ。

この話を聞いた時も、彼女の自慢を聞いたんだ。

俺の夢だったとは到底思えない。

nextpage

誰か知っている人はいないのか?

??????の事を。

泣きぼくろがあるショートヘアの白い肌の女を。

誰も覚えていないのか?

Concrete
コメント怖い
0
2
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ