中編3
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非常階段

俺のいとこが体験した話していいか?まあありきたりな話で飽きるかもしれないけど本人は青ざめて話していた話だ。 俺のいとこが関西の某団地に住んでいるんだが、そこにはとある噂があってな。それが「非常階段は緊急時以外に通るとひどい目にあう」っていう噂なんだ。最初俺のいとこは迷惑だからとか誰かがなんか隠してるとかいう理由で作られた噂だと思ったらしく、嘘だということを証明しようと思って友達2人と一緒にふざけて階段でタバコ吸ったり走り回って騒音出したりしたんだってさ。まあ「その日」は何も起きなくて、やっぱり嘘じゃんという事になり、そのまま解散したんだってさ。

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その次の日からだ。異変が起き始めたのは。いとこがいつものように部屋でソシャゲしてると「ブオーン!!」ってサイレンのような音が鳴って、「何が起きたんだ!?」って思って外に出て見ても何もなくて、パトカーの音と聞き間違えたのか?って思ったらしい。でも問題はそっからでそのサイレンのような音が毎日何回もなるもんだからおかしいなって思ったらしい。どうやらサイレンの音はいとこにしか聞こえていないらしく、親に心配されて病院に行くも、なんの異常もなく、体も精神も健康体だったらしい。

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こっからが恐怖の始まりで、しばらくして、いとこは数々の不幸に見舞われたらしい。タバコで火傷したり、バイト先でクレーマーに殴られて怪我をしたり、彼女と別れたり、まああげるときりがないほどで、心が休まる日々が一日もなかったらしい。その時はまだついてないくらいしか思ってなかったんだけど、それからすぐに起こった出来事でいとこは震え上がった。

一緒に非常階段でふざけた友達が交通事故で大怪我をしたらしい。一命はとりとめたものの、1ヶ月入院することになったらしい。んで、友達の見舞いに行ったらしいんだけど、そこで友達の口からとんでもないことが語られる。

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「事故は俺の不注意のせいだよ。バイトクビになったりとか色んな事が上手くいかなくて疲れてたんだろうな。おまけにそのせいか最近サイレンのような幻聴が毎日聞こえるしな。」いとこは震え上がった。自分も同じ体験をしてると話すとお互い恐怖を感じた。もうここまでくると2人共心当たりは一つしかない。「あの非常階段、もしかしたら心霊スポットで、無礼を働いたから呪われたんじゃないか...」と。 2人は1ヶ月後、有名な神社でお祓いしてもらうことに決めた。

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そしてその前日の夜、いとこが夜勤のバイトから帰ると、団地の入口あたりにボーっとただ立ってるだけの中年男性を見かけた。「変な人だなあ」と思い通り過ぎようとすると、その人が耳元ではっきり「次はお前らだ」といったのが聞こえてしまい、いとこは恐怖で動けなくなった。次の瞬間、男はまるで最初からいなかったかのように姿を消していた。

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翌日、いとこと友達はきちんとお祓いを受け、その日から変なことはなくなった。でも2人ともどこか腑に落ちなくて、団地の管理人に自分たちがした体験を話すと、びっくりした様子でこんなことを話してくれた。「この団地では昔大きな火災が起きて、逃げ遅れた1人の男性が非常階段で亡くなってしまったんだよ。もしかしたらサイレンのような音は、火災報知器の音かもねえ。」と。それからというもの、いとこは怖くてエレベーターしか使えなくなったらしい。

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