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長編11
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崩れる霊

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今から書くのは俺が物心ついた時から視てきた霊の話。

俺自身、霊感が強いわけではなかったし、偶然視てきたものをありのままに書くから、脈絡もなければオチもなく、文才もない。それでもよければ読んでいってくれ。

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当時の家族構成は俺含めて両親の三人家族。

子供の頃の俺は超がつくほどの怖がりで、夜になったら何をするにも親についてきてもらわないと怖くて怖くてって感じの子だった。

夜中に目が覚めても、怖いから一人でトイレに行けず、かと言って両親を起こそうにも起きてくれない。その時は決まっておねしょをして親に怒られていた。

そんな俺が生まれて初めて霊を見たのは、怖がりを克服するべく、夜中に初めて一人でトイレに行った時。

いつもの尿意で夜中に目を覚ました当時の俺は、両親を揺り起こそうとするでもなく、妙に冴えた頭で「今日は一人でトイレ行ってみよう」と立ち上がる。

電気のスイッチには手が届かない為、真っ暗な部屋を壁伝いに歩き、襖を開けたらそれがいた。

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shake

初めての霊とのエンカウント。にた〜っと笑って俺を見下ろす白い服をきた女の霊。その時の俺は何故か襖を開けてトイレがある方向を見るでなく、女がそこにいるのを知っていたかのように上を向きながら襖を開けていた。

それを見た俺は怖いとかじゃなく、何で?誰?何でいんの?ってなってた。ってかそいつに向かって言ってた。当時の年齢じゃ霊がわからないんだよね。だって見た目は人だし、俺が当時怖がってたのって日本昔話とかに出てくる鬼みたいな存在とか暗い所とかだし。

でも今思えばコレって霊に対してはNGなアクションだったんだと思う。よく言うじゃん、霊は自分が視える人間に出会うと憑いてしまうって。

案の定、俺はそれからその女を度々視ることになる。そう、二十年近くにも渡って。

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初めてのエンカウントから、その霊はずっと家にいた。

当時は町営のアパートに住んでいて、狭い部屋だったから、常に目が届くところにいた。キッチンや寝室、トイレの前だろうが、どこにでも出た。

でもずっと視え続けるわけでもないし、視界の端で視えるくらい。怖がりのわりに当時の俺は、ソレが視えることに恐怖することはなかった。

でも初めて顔を見た日以降、今日に至るまで一度も女の顔を見ていない。それが当時の俺には不思議だった。

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女の霊が時折り視える毎日が過ぎ、俺が小学生になるのを節目に、両親が祖父母の家の隣に家を建てることになった。

元々そこは祖父が家を建てる前に住んでいた長屋で、当時は倉庫みたいに扱われていた所だった。

家を建てるに当たり、長屋を取り壊すから整理するってことで、俺は宝探し感覚で初めてその長屋に入ったんだ。

長屋の玄関に足を踏み入れた途端、いつも自宅で視ていた女の霊が、長屋のキッチンの所に浮いている映像が頭に入ってきた。

まだ長屋の中を見たことない俺だったが、自宅以外で初めてその女を視たことが気味悪く、長屋に入るのはやめて祖父母の家でテレビ見てた。

それからは特に何かあるでなく、着々と建築は進んでいき、新居がそこに建った。

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新居に引越して少し引っかかっていたことと言えば、長屋時代に足を踏み入れた時に、女が浮いていたキッチンの場所と、新居のキッチンの場所が全く同じ場所という点だった。

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新居に住んでからの俺はというと、二階の一室に自分の部屋を与えられたことが嬉しくて、相変わらず怖がりのくせに「一人で寝る!」なんて息巻たりしていた。

新しく買ってもらったベッドが二段ベッドで、二段目で寝てみたいとか思ったりしてね。

そうして迎えた二段ベッド初めての夜、事件が起こった。

夜中に首を締められたんだよ。天井から腕が伸びてきてね。真っ青な腕だった。

俺はそこで気を失ったのか気づいたら朝だった。

幼少期にそんな体験したらさ、怖くて仕方がないじゃん。

でも俺さ、妙にポジティブなとこあって、夢だ夢ってその後も何回か二段目で寝たんだけど、毎回首絞められてた。

「あぁ、コレ変だなぁ」って思い始めた頃、ある夜懲りずに二段目で寝たはずなのに、朝起きたら一段目の下のフローリングで目を覚ましたってことがあった。

これには流石の俺も「変だ!!」って感じて、その以降は二段目で寝ることをやめた。

次の日からは一段目で寝るようにしていたんだけど、ベッドの下からずっと気配がする。

夜中にその気配で何度も目が覚めて気持ち悪い。

二段目も一段目も何かと不思議な現象が起きるもんだから、俺は自分の部屋で寝ることを諦め、両親の部屋で一緒に寝るようになったんだ。

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両親の寝室は、階段を上がってすぐ右側にある部屋だった。

そこは新居が建つ前の長屋時代に、件の女の霊が浮いていたキッチンの真上に当たる部屋で、新居が建ってからはそこが女の主なハザードスポットになっていた。

日常生活の中で二階に上がることは必至の中、階段を上がる度に女が浮いているのを目撃するのは、小学生の時分には堪える。当時は心霊ブームってことも相まって、自分が視ている存在が霊だってことは認知していたし、霊は人を驚かせたり、怖いことをする存在って認識していたしね。

しかもその女、両親と俺が一緒に寝るようになってからは、俺が寝ていたポジションの真上にいつも浮いていた。

この頃くらいから、女が明らかに俺を怖がらせるような行動をとっていた気がする。

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新居での生活や女の霊の出現にも慣れ、数年が過ぎた。

その間に妹が生まれたりして、めでたいことや楽しいこと、色々あった。

女の霊はというと、俺がトイレに入っている時にノックしてきたり、俺が一人で留守番中に一階にいる時は二階を歩き回ったり、二階から降りている最中の俺を突き飛ばしてケガさせたり、散々ビビらせてくれて、こっちも色々あった。

しかし一番変化があったのは両親の夫婦仲。

父親のギャンブルの借金が原因で、日に日に夫婦喧嘩は増えていった。

闇金にまで父親が手を出して、首も回らないって状況になった時に母親が離婚を決意し、母親につく形で引越すことが決まった。

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両親の離婚を機にアパート物件へ引越したのだが、築五年にも満たない物件だったのに、既に二体の霊がいた。小さい男の子と、ミリタリーパンツを履いたガタイのいい男性。

そこに加えて俺についてきた女の霊。俺たち家族三人と霊三体。俺は家族に視えることを明言したことはなかったから、内心なんじゃこりゃってなってた。

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アパートでの生活の中でも沢山不思議なことがあった。

女のハザードスポットは玄関に変わり、毎日家を出る時、帰ってきた時はお出迎え。

俺が一人の時は電源コードもさしていないラジオが大音量で音を発したり、倒れるわけがない筈の家具が隣の部屋で急に倒れたり、磨りガラス越しに誰かが歩き回っているのが見えたり、もう本当に数えきれないくらいあった。

この時俺は中学生になっていたんだけど、この当時こんなに霊が視えていたのは人生の中で霊感がピークだったからだと思う。

霊がいる建物に入ったり、初めて立ち入る建物でも間取りが頭の中で展開されて霊がいる場所を指摘できたりと、今考えても超能力じみたことができてた。

まぁ今となっては見る影もないんだけどね。

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それからまた数年が経ち、俺は高校生になっていた。

どうやらまた引越すことが決まったらしい。

母親がアパートの管理会社と揉めたと言っていた。

なんでも契約更新の際に書類送付等の一切を管理会社が失念していたらしい。で、今の部屋に住めない状況になったんだと。

今俺その管理会社に務めてるから、とんでもないことやらかしてるなぁって思う。

そんなこんなで二階に引越してから、ずっとついてきていた女の霊が急変した。

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何故だかははっきりとわからないが、ずっと俺の部屋の隅にいて、俺を睨むようになった。

部屋を真っ暗にして寝ると必ず金縛りになるし、金縛りの内容は馬乗り首絞め。これが二〜三日に一回。正直鬱陶しい。

ここまでこの霊と付き合っていれば、それなりに慣れもあって「毎度毎度やめろ鬱陶しい」って言ってたな。怖かったけど。

この時編み出した金縛り対策は、イヤホンを両耳につけて音楽流しながら、豆電球を点けて寝ること。これは数年やめられなかったな。でも割と有効。困っている方は一度是非。あと塩を一つまみ舐めてコップ一杯の水を飲む。コレも弱い霊なら有効だから参考までに。

何だかんだありながらも、そこの物件にも二年程住んで、妹が小学生中学年に上がるタイミングで、また引越すことが決まった。

俺も妹も年齢を重ねて大きくなり、部屋が手狭になってきていたことが理由だ。

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俺たち家族の次の引越し先は、俺の知り合いが元々住んでいた家を借家契約したところ。

そこは元々霊的によくない土地で、少なくとも三体の地縛霊、一本の霊道が通っている一軒家だった。

そういう家だと分かってはいたが、シングルマザーで金銭的に苦労している母親を知っていたから、何も言えなかった。

引越してから数ヶ月して気がついたのが、元々いた地縛霊が一体になっていたこと、女の霊力が強まって、悪意みたいなものが増幅していたことの二点。

この頃くらいから女の霊が何を考えているのかが、本当にわからなくなった。

そんな時、この女の霊と出会って初めての恐怖体験をすることになる。

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俺は当時付き合っていた彼女がいた。今の嫁さんなんだけど。

彼女とメッセージアプリで深夜までメッセージのやり取りをしていた際、部活の疲れもあって寝落ちしてしまった。

俺は寝落ちする寸前に時計を見ていたんだけど、午前2時4分。恐らく夢を見ていたと思う。

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shake

俺は夜中に突然金縛りにかかり目を覚ました。

あれ?電気消したっけ?とか考えていたな。

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すると、誰かが階段をゆっくりと昇ってくる足音が聞こえる。

あ、きたなぁとか考えていると、そいつが五段目くらいを昇ったところで金縛りがとけた。

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そこで目が覚めたんだ。

shake

目が覚めた瞬間、また金縛りにあった。

少し焦った。いつもと金縛りの様子が違うから。

色々考えているうちに、今度はさっきの続きの段から誰かが階段を昇ってくる音が聞こえる。

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誰かが階段を昇りきったところで、また目が覚めた。

shake

瞬間、金縛りにあう。

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今度は誰かが、自分の部屋の方までゆっくりと歩いてくる。

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また金縛りがとけて目が覚めた。今度は金縛りにならず、本当に目が覚めたのだとホッとした。

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瞬間、自分の部屋のドアが開く。心臓が止まるかと思った。

その先にいたのは  母親。

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夜中に母親が俺の部屋を訪れることなんて滅多にないものだから、どうしたのかと問いかけるも、母親は中々答えない。

改めて事情を聞くと、この家がおかしい。怖い。今日は家族皆んなで寝てほしいと話す。

今し方自分が経験したこともあり、部屋の外で話そうと廊下に出て今後のことを話していた。

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ふと俺の部屋を振り返ると、廊下の明かりで薄暗くも部屋の様子を伺えるはずが、漆でも塗ったかのような漆黒に包まれた部屋がそこにあった。

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また目が覚めた。正直混乱した。

なんだこれは?何が起こってる?どれが現実だ?

そんなことを考えている間も金縛りになっていた。

そうこう混乱している時、部屋のドアがゆっくりと音を立てて開き始めた。

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俺はその時、今、ドアの向こう側にいるのは母親ではないことを確信していた。

混乱と焦りでいっぱいの中、少しずつドアは開いていく。

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あの女だ。顔は相変わらず見えないが、あの女がそこに立っていた。

初めて会った時とは比較にならないほど、見窄らしい格好になって。

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また...目が覚めた。

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女は既に俺に馬乗りになり、俺の首を絞めている。

今までこの女に何度も首を絞められてきたが、今回は少し毛色が違う。

俺はこれまでにない展開に焦りと恐怖を感じつつも、身体が金縛りにかかっていないことに気がついた。

意識も朧げになってきて命の危険を感じ、俺は必死の抵抗で裏拳みたいな形で女の頬を全力で殴りつけた。

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殴られた拍子に、女は横に倒れ込む。

俺はというと身体に力が入らず、寝たままの体勢で拳に体重をかけ、女が起き上がらないようにするのが精一杯だった。

女も起き上がれないのか俺の拳に噛みつき始める始末。

噛まれる痛みに堪えつつも、俺は徐々に身体に力がはいるようになり、女の口に拳を突っ込む形で体重をかけたその瞬間ーー、、

...ガコッと関節か何かが外れる音がして、俺は目を覚ました。

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寝落ちしてしまった時の電気がついたままの部屋。

金縛りにはかかっていない。

俺はこれが現実であることを確認し、時計を確認した。

午前2時14分。終わりがないように思われた夢の連鎖は、時間にしてたった10分の出来事だった。

女の霊に噛みつかれた感触が手に残っていたから確認すると、きっちり歯型がついていた。

本来もっと驚くべきことではあったが、本当に疲れていた為、そのまま寝た。

翌朝、あまりにも生々しい夢?だったから、母親に俺の部屋に来たかと聞いたが、行っていないとのことだった。

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夢?の件から一年程経ち、その間俺はその女を見ていない。

俺が高校を卒業し、就職するのとほぼ同じタイミングで母親が再婚し、家を出ていくこととなった。

一方俺は家に残り、そこに彼女が転がり込む形で同棲生活がスタートした。

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親元を離れた生活を始め、楽しくも忙しい毎日が続き一年が経とうかという頃、ある地方都市で彼女とデートをすることになった。

ショッピングや食べ歩き、まるで昨日のことかのように思い出せるくらい、その日はデートを堪能した。

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一日中遊び尽くし、夜も遅いから帰ろうかと帰路について間も無く、彼女が眠いと言い、隣で寝息をたて始めた。

俺はいつものことなので、家の近くになったら起こしてあげようと、そのまま車を走らせた。

二時間程車を走らせ、そろそろ彼女を起こそうかと彼女の方をチラッと見た時に、何かが見えた。

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...?誰かいた?こんな時間に??

時刻は午前2時過ぎ。場所は竹藪の前。

俺の自宅は田舎にあり、近くに竹藪がある。普段からよく通る道だった。

しかしそんな時間に竹藪前に突っ立ってるだけのソイツは少々気味が悪い。

なんとなく目で追っていたが、彼女を起こす為に再度彼女の方に向き直ると驚愕した。

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彼女が白目を剥きながら、満面の笑みでこちらを見つめていたんだ。

本当に事故るかと思ったよ。もうその場で急ブレーキ。電柱にギリギリぶつからないところで停車できた。

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落ち着くために一旦深呼吸、彼女をもういちど見やるが、相変わらず寝息を立てている。

人間にあんな変顔ができるのかってちょっと笑えたけど、面倒くさそうなやつに憑かれたなと、今後のことを思いやり、ため息を溢しながら家路についた。

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彼女がソレに憑かれてからはまた金縛りの毎日だった。

今日はくるなぁとか言いながら塩舐めて寝る毎日。正直件の女が現れなくなって久しかったから、懐かしさまであった。

毎日毎日懲りずによくやるもんだと思いながら対応していたある日、金縛りの最中、ドン!!って凄まじい音がした。

地震か!?って胸中金縛りのなか考えていたら、天井から何か液体というか、ドラクエのバブルスライムみたいなものがドゥルンって落ちてきた。

見た瞬間、彼女に憑いていた霊だってわかった。なんかすごいスピードで逃げていったから、その後のことは知らんけど。

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その日以降、彼女に憑いていた霊はとれてた。

けど、件の女の霊がまた現れるようになったんだよね。

それもまた奇怪な姿になって。

もうアレは人じゃないものに変化しつつあった。

最後に見た時の姿は、手足が異常に長くなり、蜘蛛みたいに這って階段を降りてくるところだった。

憶測だけど、引越す先々で出会った霊と同化でもしてたんじゃないかな。

今はまた引越して、そいつとは対面していません。

そいつがいた家は、俺たちが引越した後、地元のツレの溜まり場みたいになってるから、誰かしらが持って帰ったんじゃないかと思ってる。

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以前顔を出した時、いなくなってたし。

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ネタバレ注意
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乱文失礼いたします。
今回投稿した怪談は人生を通した体験談になります。
お初にして最後の投稿になるかと思いますが、皆さんの怪談誌の1ページに刻まれると幸いです。

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