二年前のある日、登山好きの友人のAから山の中で呪いのビデオみたいなの見つけたから見にこいよ。
という内容のメールがあった。
その頃、怖い話やホラー映画にハマっていた俺は、ワクワクしながらAの家へ向かった。
Aの家につくと、そのころ仲のよかったBも着ていた。
A「まぁ、あがれよ。」
中に入るとAの部屋に案内された。
部屋に着くと、Aは机の中からおもむろに一本のビデオテープを取り出した。
A「これなんだ。」
Aが取り出したビデオテープは、ところどころ傷がついており、プラスチックの部分が一カ所ひび割れていた。
ラベルのシールは損傷が激しく、何か書いてあるようだが読み取れなかった。
俺「これ壊れてんじゃね?」
B「なかのテープがまだ大丈夫そうに見えるぜ。」
A「取りあえず、つけてみるぞ。」
Aは恐る恐るビデオデッキにそのビデオを差し込んだ。
再生
一瞬、ザーッと砂嵐のようになったあと、ある男の背中が映し出された。
男は後ろ姿なのでよく分からないが、40代前後のリーマン風の男のように見えた。
こちらに背を向けたまま、ひたすら何かを貪っている。
薄暗い部屋で、クチャクチャ音をたてながら。
B「なんだこれ?」
俺「このおっさんなに食ってんだ?」
A「カップめんじゃね?(笑)」
などと話ていると、急に画面が右にズレた。
右に画面がズレた瞬間、俺は、心臓が高鳴り冷や汗が流れたのを感じた。
他の二人もそうだったに違いない。
背中を向けて何かにひたすらむしゃぶりつく男。
その横、画面から見て右の場所。
そこに横たわる、頭と四肢が切断された女性。
頭は体の横に置いてあり、顔はこちらの方向を向いていた。
目はしっかりと開けてこちらを見ている。
B「おい、なんかやばいぞこれ。」
俺「え、ちょっと待て。まさかさっきからこの男が食ってるのって」
俺が言い終わらない内に画面が男の背中に切り替わった。
さっきまでのクチャクチャと言う音も消えて、男はピクリとも動かなかった。
その状態が約五分ほど続いたとき、男に変化が見られた。
かなりゆっくりだが、こちらに顔を向けようとしているのが分かった。
Aが早送りする。
徐々に男の顔がこちらに向いている。
そして完全に振り向こうとした時、画面が砂嵐のようになりテープはそこで終わっていた。
B「なんかやばいもん見てしまった気がする…」
俺「俺も…なんか気分悪いわ」
A「んだな。あ、帰るなら送るよ。」
Bは俺が帰るならと、その日はそのまま帰っていった。
俺は帰り際にAに聞いてみた。
俺「あんなビデオどこの山で見つけてきたんだ?」
Aは表情一つ変えずにこういった。
A「富士山の樹海。」
コイツ自殺でもする気か?と思ったが、
特に何も言わないことにしてその日は帰宅した。
それから一週間後にAからとんでもない内容のメールが届いた。
A「例の呪いのビデオ、ドラえもん上書きしちゃったorz」
あれから二年経った今でも、Aは元気に暮らしている。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話