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短編2
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虚ろな記憶

「こいつが犯人よ」

目の前の女は一枚の写真と

ナイフを渡してきた

「これはあなたの復讐よ」

わたしは立ち去る女の後ろ姿を眺めて、写真へ目を落とす

整った顔立ち

栗色の短い髪

焼けた肌

今時の若者のようだ

写真の下には

「こいつがあなたの恋人を殺した」

と書かれてたメモと

相手の住所が書かれていた

どうやら近くに住んでいるらしい

わたしはフラフラと歩きだした

なんだか頭が重い

早くこの男を始末して

家で休みたい

ピンポーン

写真の男が笑顔で玄関を開けた

こいつが

私の恋人を...

ユルサナイ..

沸々と怒りが立ち込め

わたしはナイフを男の胸に突き刺した

男は酷く悲しそうな顔をして

涙を流していた

「ど うして... 」

わたしは絶命した男を見下ろし、フラフラと家の中に入った..

ソファーに腰を下ろし

周囲を眺めると、一枚の写真が目に付いた

そこには先ほどの男と見知らぬ女が仲良く映っていた

人の恋人を殺しておいて

なんて男だ

わたしは血の付いたナイフを洗うため、洗面台に向かった

途中の鏡に

血のついたナイフを握りしめた

写真の女が映った

「どう?うまくいった?」

「ええ...事故を起こしてから

最近の記憶を忘れてしまうみたいだからね..

まったく

あの子、人の彼氏を奪うなんて許せないわ。

まぁ、

無理心中ってことで片づいたみたいよ」

「そっか」

「いい気味よ」

街中に女の高笑いが響いた

怖い話投稿:ホラーテラー ☆さん  

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