「こいつが犯人よ」
目の前の女は一枚の写真と
ナイフを渡してきた
「これはあなたの復讐よ」
わたしは立ち去る女の後ろ姿を眺めて、写真へ目を落とす
整った顔立ち
栗色の短い髪
焼けた肌
今時の若者のようだ
写真の下には
「こいつがあなたの恋人を殺した」
と書かれてたメモと
相手の住所が書かれていた
どうやら近くに住んでいるらしい
わたしはフラフラと歩きだした
なんだか頭が重い
早くこの男を始末して
家で休みたい
ピンポーン
写真の男が笑顔で玄関を開けた
こいつが
私の恋人を...
ユルサナイ..
沸々と怒りが立ち込め
わたしはナイフを男の胸に突き刺した
男は酷く悲しそうな顔をして
涙を流していた
「ど うして... 」
わたしは絶命した男を見下ろし、フラフラと家の中に入った..
ソファーに腰を下ろし
周囲を眺めると、一枚の写真が目に付いた
そこには先ほどの男と見知らぬ女が仲良く映っていた
人の恋人を殺しておいて
なんて男だ
わたしは血の付いたナイフを洗うため、洗面台に向かった
途中の鏡に
血のついたナイフを握りしめた
写真の女が映った
「どう?うまくいった?」
「ええ...事故を起こしてから
最近の記憶を忘れてしまうみたいだからね..
まったく
あの子、人の彼氏を奪うなんて許せないわ。
まぁ、
無理心中ってことで片づいたみたいよ」
「そっか」
「いい気味よ」
街中に女の高笑いが響いた
怖い話投稿:ホラーテラー ☆さん
作者怖話