小学3年生のころ。
友達のAちゃんはその日、当時流行っていたこっくりさんをやりたいと言い出した。
母親が霊感強いからもし何かあった時に(幽霊をお持ち帰りしたり)もの凄く怒られるから嫌だったけれど、何度も何度もやろうとお願いされて渋々了承した。
場所は私の部屋で時刻は夕方4時。
こっくりさんをやるための紙と、10円玉を用意した。
A「それじゃあはじめようか」
二人「「こっくりさん、こっくりさん。おいでになりましたら鳥居の中へお入り下さい。」」
シーン…音で表すならそんな感じだろう。
10円玉はビクともせず何も起こらなかった。
私「やっぱりこんなのただの噂だよ」
当時の私はこっくりさんをやってどうなるかの理由(遊び半分でやるために低級霊が寄ってくる)を知らなかったので、動かない10円玉を見てこっくりさんは実在しないと思っていた。
しかしAはそれが納得出来なかったようで、1人でまた呼び出し台詞を言い出した。
A「こっくりさん、こっくりさん。おいでになりましたら鳥居の中へお入り下さい。」
すると10円玉がスーッ、と鳥居の中へと入っていくではないか。
続けてAは「あなたはこっくりさんですか?」と問い掛けた。
はい
ゆっくりと動いた10円玉は自分をこっくりさんだと言った。
Aはそれに興奮し言葉を続ける。
A「あなたがこっくりさんであるという証拠を見せて下さい。私の名前はなんですか?」
○○
自分の名前を当てたこっくりさんにAは嬉しそうに一番聞きたかった質問をぶつけた。
A「私の事を好きな人は誰ですか?」
ピタリと10円玉の動きが止まる。
Aは不思議そうにしていたが、私はそれを呆れながら見ていた。
どうせ10円玉を動かしてるのはAちゃんでしょ。ゥチを怖がらせたいのかな?
そんな風に思っていたから。
Aは私に10円玉が急に動かなくなったと訴えてきた。
そこまで演技しなくてもと思った矢先に10円玉が動いた。
わ…た…し
二人で暫しの沈黙。
Aが動かしているとばかり思っていた私。
しかしさすがに自分のことを好きな人間の質問に自分と答えないだろう(自意識過剰なナルシストでなければ)。
Aは怖かったのだろう、10円玉から手を離してしまった(10円玉から手を離したら呪われると言われていた)。
慌てふためいたAはあろうことか私に家まで送ってほしいと頼んできた。
さすがに巻き込まれるのはごめんだと思ったが、1人で放っておくわけにも行かず一緒について行くことにした。
しかし玄関に行くと丁度母親が帰ってきて、一緒もの凄い嫌そうな顔をした。
そしてもう遅いからAちゃんの親に連絡を入れて迎えに来てもらおうと言って、母親はAちゃんの親を呼び出した。
10分もしないうちに(家が近かった)Aちゃんの母親が来て、二人は一緒に仲睦まじく帰っていった。
それを見送りきる前に母親に勢いよく家の中へと連れこまれ、頬を思いきりビンタされた。
母「アンタ何かしたやろ?じゃないとこの家にあんなんが入ってくるわけがない。」
霊感の強い母は家に結界を張っているらしく(霊感が弱い私には今でもあまり信じられないことだが)、家の中に幽霊が入ってくる事は普通に過ごしていればないという。
私はAがこっくりさんを1人でやった時に10円玉が勝手に動いた事を話した。
それを聞いた母親はまたもや私の頬をビンタ。
しかも往復。
母「あれほどそういうのはやるなって言ったやろ!アホやないんか!
あの子はな、こっくりさんをやったが為にタチの悪いもん呼び寄せたんよ、それも珍しくこの家に入れるような。あの子はそいつに気に入られたみたいでピッタリくっついてたわ。」
詳しく母に話を聞くと、Aの肩に持たれかかるように30歳くらいのおじさんがニタニタと気持ち悪い笑みを浮かべてくっついていたそうです。
私や母には目もくれてなかったようなので(面倒に巻き込まれたくないので)母親はAちゃんの親を呼んだとか。
それから一ヶ月もしないうちにAちゃんは引っ越しました。
聞いたところによると父親がなくなった為に家のローンが払えなくなり夜逃げしたそうです。
父親の死は変死とされていて、心臓や肝臓、胃等の内臓殆んどが腐っていたとか。
しかも父親だけではなく、彼女の親戚の何人かも変死で亡くなられたそうです。
何故か亡くなられた人全員が男性だったとのこと(噂なので真実は知りませんが)。
Aちゃんのことを気に入った男が嫉妬でもして周りにいる親しい男性を殺したのでしょうか?
彼女が引っ越してから全く連絡をとっていないので今彼女がどうしているかは知りません。
生きているか、死んでいるかさえも…
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話