【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編6
  • 表示切替
  • 使い方

家賃が安い理由

友人が以前住んでいたアパートのことです。

二年前、私と違う高校に通っていた友人からメールがきて

『大学に進学が決まり、一人暮らしをするからアパートを探すの手伝ってほしい』と頼まれました。

学校帰り早速近所の某不動産屋に行きました。大学から近い場所は家賃が高く、それでも契約が決まっていて空きがありませんでした。

「K(友人)は大学までバスで登下校するんでしょ?だったらバス停に近いアパートを探した方がいいんじゃない?」

私の一言で渋々バス停に近い場所を探すことになりました。以外とこっちの条件の方が沢山ありましたが、やはり家賃が高いか、アパートが古いかにハッキリとわかれてました。

その日は時間も遅いから帰ることにしました。それから数日後友人から電話がきて

『凄くいいアパート見つけた!一人暮らし楽しみだ!』

と楽しそうに報告してきました。手伝う意味なかったなぁと有無言わず電話を切りました。

そしてお互い高校を卒業し4ヶ月ぐらい経った頃に友人が越したアパートに遊びに行きました。

二階建てで見た目は凄く綺麗で高そうなアパートです。まぁお金持ちの友人だからと納得し、アパートに入りました。友人の部屋は二階の左から二番目の部屋。

チャイムを鳴らすとすぐ友人が出て、早く部屋に入るよう即されました。

が、私は無意識のうちに入るのを躊躇いました。ドアから中を覗いて見ると妙に暗いのです。直感で何かいるのがわかりましたし…

しかし強引に友人に引っ張られ中に入りました。

部屋は1LDKで一人暮らしの学生にしては広過ぎるように思いました。そしてかなり壁やお風呂が綺麗なんです。キッチンの奥にお風呂と洗面所があるんですが、異常に寒くて鳥肌が立ったのを今でも忘れられない…むしろ何か怖くて目を向けるのも嫌でした。

友「ビックリでしょ〜。あ、家賃いくらだと思う?」

私「1LDKでベランダもついて、こんなに綺麗なんだから7、8万ぐらいじゃない?」

(地元じゃこれぐらいが普通です)

友人のこの一言で私はゾッとしました。

友「全然違うよ。5万円だよ。他の部屋は○○の言う通り8万なんだけど、この部屋だけ安かったの。」

あきらかに問題物件…

でも住んでから4ヶ月以上経っても何も起こらないのが気になりましたが、長居したくなかったので逃げるように帰りました。

しかしその晩、嫌な予感していたら突然友人から電話がきて『助けて』と泣きじゃくっていました。

次の日の土曜、私はバスに乗って友人の元へ急ぎました。

友人(K)の部屋へ入ると友人の彼氏(S)さんがKに寄り添ってました。Kの顔色が真っ青で震えてました。

Sさんと挨拶を軽く済ませた後、私は何があったかたずねました。Kは声を震わせ、泣きながら話してくれました。

私が部屋に来た日の晩、部屋の空気が変わり(寒くなった)、勝手にシャワーから水が出たり、寝ていると声が聞こえてくる。

それがずっと続いていると。

私(キッチンとお風呂を行ったり来たりしているな。でもそこしか動けないのか…)

私が感じていたのは間違いなかった。でも怖がっているKになんて説明しようか考えているとSさんが

「霊なんているわけない!変なこと言うな!よけいKが怖がってるだろ!」

と怒ってしまいした。仮にも彼女がこんな状態なのに信じないなんて許せない、と腹が立ち思わず

「前の彼女を一方的に振ったせいで恨まれてますよ。だから毎晩魘されて眠れないんだよ」

と言ったら顔色変わって信じてくれました。まさにその通りだと。

Kを見ると苦笑してました。私はKに隠さず説明しました。

私「初めてうちが遊びに来た日憶えてる?最初入るの躊躇ったのは、気配を感じたからなの。部屋が暗い感じがして正直嫌だった。

入ってすぐに、霊視じゃないけど見てたらキッチンの方が特に暗くて寒気がして鳥肌が立ったの。『絶対何か居る』と思って、今話し聞いてわかった。

女の霊がいる。

キッチンとお風呂場を行ったり来たりしている。でもそこだけしか移動できないから、今のところ大丈夫だよ」

言い終わるとKはまた泣き出した。Sさんは真剣に聞いてくれたが、少し戸惑っていたと思う。

私「大丈夫だよ!うちの家じゃこんなこと日常茶飯事だからさ!それに一緒に居てくれる彼氏だっているでしょ?羨ましくてうちが泣けるよ!うちは祓うことできないから、先輩に頼んでみるよ」

言っておきながら悲しくなったけど、KとSさんが笑ってくれた。私は完全に祓うことができないので、気休めとして簡単に清める方法をしてその日様子を見るついでに泊まることにした。Sさんは無論帰らせました。

次の日わざわざ仕事を休んで先輩(天使の羽根?に登場した人)が来てくれました。バス停まで迎いに行ってアパートの前まで来た途端、先輩が嫌な顔してその場に立ち止まりました。

先輩「うっわこりゃスゲェな…○○(私)が電話で言ってたより酷いぞ」

K「入らなくてもわかるんですか…?」

先輩「○○も見ただけで感じたはずだけど?…友達相手じゃ言いにくいか」

私「よけいなことを…」

先輩は部屋に入らなくても充分わかると言って説明してくれました。

「Kちゃんが今住んでる部屋な、女の人と彼氏が同棲してたんだ。…ある日女の人がいない隙に彼氏が知らない女を連れて寝たんだ。

それを見てしまった女の人はショックのあまり…キッチンから包丁を取り出して手首を切った。だけど浅かったのか、死ねなかったから湯船に水を溜めて……

それ以来、ずっと出ているな。それに、この部屋に住んだ何人か死んでるはずだ。

Kちゃんが女の子だったからまだ軽くて済んだんけど、男だったら憑かれて危なかったな…

あ、それと変なことが起きるようになったのは○○に気配を感じられたからだ。だから焦ったんだろうな。

しっかし祓うのは難しいな。俺もまだまだ素人だし、○○の清めも長くはもたない。早く引っ越して、念のために寺で祓ってもらいな。」

先輩がKの肩を叩いて励ました。

K「ありがとうございます。あの、彼氏が何度も遊びに来たり泊まったりしてるんですが、大丈夫でしょうか?」

先輩「ダメだろうな。できるだけ早く先に彼氏をお祓いしてもらった方がいい。」

そう言ってKが直ぐSさんに連絡し、数日後お祓いをしてもらい、直ぐアパートを引っ越しました。それからは何事もなく大学生活を満喫していると連絡がきます。Sさんも無事でまだ付き合ってるとか。

後日談になりますが、アパートを紹介した某不動産屋を教えてもらい、先輩と二人でそのアパートのチラシを見に行き、家賃を見ると5万が4万円に下がってました。他にも値下げされた部屋や物件が多くてゾッとしました。

先輩が『家賃が安い理由は、古いとか立地が悪いだけじゃなくて、どなたか亡くなられたりとかしてるからなんですか?』

と言ったら担当者が

「そんなことないですよ!ただ普通に亡くなられただけなら下がらないんですよ。

……失礼しました。」

もちろん家賃が高くても霊がいる場合はあります。

先輩が言うに、安い部屋で探す際に担当者が暫く間をおいて

『これが最後になりますよ。』

等と言って紹介した物件や部屋は気を付けた方がいいみたいです。

優しいところは教えてくれるみたいです。お探しの場合は気をつけてください。

長々とありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 狐の嫁入りさん

Normal
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ