その霊安室は変な所にあった。
外は外なんだが、
普通に人が通る道のそば!
言われないと気がつかないかもしれない。
最近は宗教の自由という理由で線香はたかない。
と、師長が言ってた。
だから、この霊安室もしばらく線香をたいていない。はずが・・・
匂う。匂う!
「おかしいわね?」と師長
霊安室の扉を開ける。
小心者の私は師長の後ろからついていく。
中は何もない。
が、線香の匂いが鼻をツーンとつく。
師長が霊安室の中を調べるも、もちろん線香などみつからない。
線香のゲンブツがないので師長も諦めて扉を閉めた。
この話をナースステーションに戻り、師長が他の看護師に話すと、
一人の看護師がこう言った。
「さっき霊安室の脇に 大きな荷物が置いてあったけど?」
師長、私・・・???
「何もなかったよ!?」と私と師長は顔を合わせて答える。
すると、その看護師は、
「当たり前よ。死体だもの!みえない人にはみえないわよ」
と。
だから線香の匂いがしたんだぁ〜と納得する私と師長。
うなずく私たちの顔を冷めた表情で見ながら、こう続けた。
「もう少ししたら亡くなる患者さんがいるわよ」と。
その日の夕方、日勤から準夜へと変わろうとする頃、霊安室のランプがついた。
私たちの病棟ではなく、他の病棟だった。
急性期だったと思う。
遠い昔の体験。
この霊安室の話は他にもあるので、またの機会に!
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話