選挙も押し迫った8月の夜、路地裏で、ある大物政治家の秘書が、土木建築業社長に、
厚い紙袋を渡していた。
「へへ、これで何とかお願いしますよ…」
そう秘書に言われると、社長は足早に立ち去って行った。
秘書も慌ただしげに立ち去ろうとすると、
秘書の前に女が一人立っていた。
大きなマスクを掛けた女だ。
秘書は驚いて、
「君、今の見てた?」そう尋ねた。
女は何も言わない…
秘書は、
「いいかい、今見たことは、口が裂けても、言ってはいけないよ。」
そう言って、数枚の紙幣を女に握らせた。
すると女が口を開いた、
「ワタシ…キレイ?…」
秘書は、
「ああキレイ、キレイ、それより今言ったこと忘れないでよ。」
「コレデモ?…。」
女はゆっくりとマスクを外した。
そこには、耳まで裂けた口があった…
秘書は、
「ああキレイ、キレイ、それより君、口が裂けてても今見たことは言ってはいけないよ。」
そう言うと忙しげに立ち去って行った。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話