少女は恋をしていた、
だが少女は、自分は醜いと思い込んでいた。
思春期ゆえの、吹き出物が彼女の顔には、いくつもあり、育ち盛りの体は、栄養を蓄えようと、彼女を太らせた。
「これじゃ、告白も出来ないや…」
内向的な少女は、うつむいて歩くようになっていた…
ある夜、少女が家へと帰る途中、路地裏に見慣れない看板をみつけた。
看板には、
(恋占い)
そう書いてあった。
恋に悩む少女は、引き寄せられるようにその店へ入って行った。
店に入ると、一人の女性がいた。
一見、美しいようだが顔には大きなマスクが掛けられている。
「あなた、恋をしているのね。」
女の声はとてもやさしい、
「あ…は、はい…」
少女は女の前に座った。
女が話出した、
「うふふ…、あなたは自分が醜いと思ってるのね。」
「あ…はい…」
「じゃあ、一つ話をしてあげるわ。
あなた、口裂け女て、知ってる?」
「はい…都市伝説のですよね…」
「そうよ、そしてね、その口裂け女が、この私なの。」
少女は、キョトンとしてしまう…
女の話は続いた。
「口裂け女もね、あなたと同じ、自分は醜い物だと思い続け、夜の闇をさまよっていたの。
だけど、ある時恋をしたの、口裂け女をね、(キレイだよ)て言う男が現れたのよ。
口裂け女は、男を自分の世界に引き込みたかった…
だけど出来なかった…本当に好きだったのね。
口裂け女は、もう一度だけ、男に会いたくて、男の仕事場に行ったの。
そしたら…あの人…
死んでたの…
仕事で大きな失敗をしてしまってね…
私はね、(こっちにきて…)そう言いたかったけど、断られるのが怖くて言えなかった…
だけど、あの人…
私の所に来てくれた…。」
少女は、恐々と女に訪ねた。
「じゃあ…そのマスクの下は…」
女は、優しく笑いながら、ゆっくりとマスクを外した…
少女は息をのんだ…
女の口元の美しさに、少女は息をのんだ…
「恋の力は、全てを変えるのよ!」
そして少女をみつめ、
「あなたが、綺麗か綺麗じゃないか、聞いてごらんなさい。」
と、少女の後ろを指さした。
そこには、ヒョロリと背の高い色白の男がいた。
少女は、
「あの…私…綺麗ですか?」
そう男に尋ねた。
男は優しく笑い、
「ああ、とても綺麗だよ。」
そう言うと、静かに消えた。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話