これは、早朝、私が実際に体験したお話です。
怖いかどうかは分かりませんが、自分は本気でヤバかったです。
おそらく4時〜5時頃。
夢うつつ、起きかけた時だった。
頭の中にお父さんの声が響いた。
「鬼の掛け軸を持った奴が来たら、『嫌だ』と言い続けなさい」
そうして、間もなく奴が来た。
鬼の掛け軸を持っていた。
だから、『嫌だ』と言った。
口で言ったのか、頭の中で言ったのか定かではない。
目以外はすべて麻痺したような感じで動けなかったから。
何かを探しているような感じで小一時間私を問いただした。
奴は、私に何度も脅すように何かを要求した。
けれど、言われた通り『嫌だ』と言い続けた。
いつの間にか目に映るのは部屋の風景で、私は完全に起きていた。
しかし、やはり目以外は動かず、聞こえて来るのは気味の悪い、この世の者ではない声。
きっと、探し物は私が持っていた。
それがなんだか分からないけど、直感で分かった。
何を言われても、『嫌だ』と言い続けた。
そしたら、布団の中の左手に、何か持っていたらしい。
それが奪われた感触がはっきりとした。
「今回はこれで勘弁してやる。次は死ぬぞ」
そう言って奴は帰った。
扉を開け、閉める音が響いた。
向こう側へ続く扉だと思う。
だって、私の部屋には、引き戸などないのだから。
たぶん、とられたのはリク(最近死んだ我が家の愛猫)の魂だ。
昨日まで、なんとなく感じていた存在がなくなった。
ひとりじゃない感じ、それがなくなった。
一年以上前にも、同じようなことがあった。
母が死んで10日程経った頃のことだ。
ふたりの女の子が、私の魂を連れていこうとした。
しかし、「今回は見逃してあげる」そう言って暗闇へ消えた。
女の子特有のあのクスクス笑いがまだ頭に残ってる。
今まで不思議現象には何度か遭遇したけれど、今回の、ガチで怖かった…解放された瞬間、隣のお父さんの部屋に飛び込んだ。
夢だと言われたけど、絶対に夢なんかじゃない。
奴らは、何かを探してる。
でもそれが何なのか、なぜ私が持っているのか、わからないままである。
怖い話投稿:ホラーテラー 桜涙さん
作者怖話