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短編2
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まお

今回は私の話です。

20年以上前の話。

私は白地に灰色のトラネコを拾いました。

名前は『まお』

まおは私によく懐いていました。

まだ小さいし、近所に野良犬や野良猫に毒入りの餌をやる爺さんがいたから、室内飼いで外には出しませんでした。

ある日、帰って来るとまおがいない。

家中探したけどいなくて「まさか外に?」と外を探し回った。

名前を呼んで探し回って、やっと庭の草の中にまおを見付けた。

まおは野良犬に襲われたのか、苦しそうに顔を歪めて亡くなっていました。

「私のせいだ!」

「私が出掛けなければ、まおは死ななかった」

「あんなに苦しそうな顔で…怖かったね?痛かったね?ごめんね」

わんわん泣いて、泣いて…泣き疲れた頃に姉が「そんなに泣いたらまおが悲しむ」「ほら、笑って送ってやろ?」と言ってカメラを取り出した。

姉「ほらほら、笑って笑って~!」

おどける姉に涙を拭いながらニコッと笑顔を見せると、姉はシャッターをきった。

まおの死から数日後。現像した写真を見ていました。

その中に姉が撮った私の写真がありました。

泣き腫らした不細工な顔…その横、後ろの白いドアに何やらある。

「まお!?」

何もないドアに白地に灰色のトラネコの顔が浮かんでました。

その顔はニッコリ笑っているようです。

それを見て号泣。

霊感のある(らしい)母に見せたところ「まお!」とボロボロ涙を流しながら「金時、これ『まお』や。お前が自分のせいで死んだ言うて泣いとったから、出て来てくれたんやで?見てみ。まお『えぇトコ』(極楽、天国の意味)行っとるわ。後ろに見えるん蓮の葉や。『心配せんでえぇよ』ってニッコリ笑ぅとんや」と教えてくれました。

それを聞いてまた泣いてしまいました。

今もその写真はあります。

当時はハッキリ写っていたのですが、20年以上たつからか、薄くぼんやりしてきてます。

いつか消えちゃうかもしれないけど、まおの事は忘れません。

怖い話投稿:ホラーテラー 鳴門金時さん  

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