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短編2
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糞地獄

男が一人、死んだ。

この男は現世で悪業を積み重ねたためその報いとして死後に苦果を受ける所、つまり地獄に送られた。

子鬼から簡単な説明を受ける。

どうやら男が送られたのは煉獄(プルガトリオ)、永劫の罰責をうける地獄(インフェルノ)に比べ浄罪されたのち昇天を許される軽い地獄である事が分かった。

そして最近の地獄は刑罰を罪人自身が選べるのだという。

早速、最初の地獄に案内された。

針山地獄。

一面鋭い針で覆われている山を罪人達が登っていた、断末魔と共に。

無理だ…。

一目見ただけで男は首を横に振った。

次に案内されたのが血の池地獄。

沸々と煮える血の池に罪人達が浸かっていた。熱さに辛抱出来ずに出ようとした者は槍で突かれてまた血の池に戻されてしまった。

池じゃない…。

男はまたもや首を横に振る。

それから男は幾つもの地獄を回ってみたが、そのどれもにも耐えられる自身は無かった。

恐怖と自責の念によりうなだれる男が、最後に案内されたのが最近出来たのだという糞地獄だった。

遠くからでも分かる激臭、近づいてみるとそこには無数の肥溜めがあり、その一つ一つに罪人達がつかっていた。

最初はその匂いでやはり無理だと思ったが、よくよく見ると 本を読んだり煙草をふかしたりと罪人達は結構くつろいでる様子だった。

ここなら大丈夫だ…。匂いと不潔さにだけ耐えればいい…。

男はついに決めた。糞地獄に。

簡単な手続きを済ませ、男が自分にあてがわれた肥溜めにズブブッと浸かった直後だった…

ハイ、休憩終わり~頭まで沈んで~。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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