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短編2
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贈り物

僕は、子供の頃とても貧乏でした。

貧乏だという理由で、イジメられ、いつも一人きりでいました。

その頃の、お気に入りの場所は、お寺の境内でした。

高い所から街を見ながら、大好きな絵を書くのが、一番好きな時間でした。

絵を書く前に、境内にある、お地蔵様に手を合わせお願いします。

「どうか、お金がたくさんになりますように。」

これが、小学生の時の僕の日課でした。

ある日、いつもの様に境内に行き、お地蔵様にお願いしていると、境内のベンチに座ってた、おばあちゃんが話かけてきました。

「あんた、いつも地蔵様にお祈りしとるが、水子供養の地蔵様に、いったい何をお願いしとるんじゃ。」

僕は、水子供養なんてものを知りませんでしたので、

「あのね、お金がたくさんになります様にってお願いしてるんだよ」

おばあちゃんは、面食らった顔して、

「お金ねぇ…あんた、お金なんてどうするんだい。」

そう聞いてきました。

僕は、

「僕の家、父さんいないんだ。だから母さんが、いつも夜勤に行ってる。お金あれば、母さん夜勤に行かなくていいだろ。だから、お願いしてるんだ。

後ね、欲しいものだって買えるし…。」

おばあちゃんは、僕の近くにきて、

「あんた、欲しいものあるんか?」

僕は即座に、

「絵の具セット!」

そう答えました。

おばあちゃんは、悲しいような、可笑しいような、そんな顔で僕の頭をなでました。

その日から、おばあちゃんを見かける事は、なくなりました。

しばらくたったある日、僕が境内で絵を書いてると、一人のおばさんが声をかけてきた。

「ねぇねぇ、ちょっと前に、ここでおばあちゃんと話しなかった?」

僕は、

「はい…話しましたけど」

おばさんは、

「良かったああ、見つかった。あのね、君と話てたおばあちゃん、5日前に亡くなったの…

でね、そのおばあちゃんの遺言書に、あなたの事が書いてあったの。

私の残すお金で、あなたに絵の具を買ってあげなさいて…。おばあちゃん、ずっと寝たきりだったのに…不思議よね。」

そして僕に、大きな紙袋をくれました。

そこには、何十種類の絵の具セットと画用紙、筆が入っていました。

そして今僕は、なんとか絵で食べていけるようになりました。

あの時、おばあちゃんがいなかったら、今の僕はありません。

おばあちゃん、ありがとう!

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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