短編1
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真夜中の親子

俺が中学の時の話。

その日なんでか夜中に目が覚めた俺。しかもやけに目が冴えてなかなか寝付けない。仕方ないからベランダに出て夜風に当たる事にした。ベランダに出て星を見ながら夜風に当たってると視界の隅に人影が見えた。俺の家の斜め向かいの家の前、オカッパ風の髪型で鼻の下にホクロのある色白な男の子とその子の親らしき人だった。この辺りでは見た事ない顔だ。

「こんな夜中に何してるんだろう?」

そんな事を呟く俺をジッと見ていた男の子がいきなり俺を指差しながら笑い出す。しかも何故か声を出さずに。確かに俺はお世辞にもカッコいいとは言えないが笑うのは失礼な話だ。

「何なんだよ…」

ちょっとムカついて部屋に帰ろうとその親子に背を向けた時に気が付いた。自分が酷い乱視である事を。向かいの家の前にいる男の子の顔なんて見えるわけがない事を。

もう一度振り返るともうさっきの親子はいなかった。今でもあの男の子の目を見開いた笑い顔はハッキリと思い出す。しかし不思議な事に一緒にいたはずの親の顔は覚えていない。父親か、母親かすら。

つまらん話ですまん。

怖い話投稿:ホラーテラー anonymityさん  

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