「父さん、またあの川にカッパが出たよ!」
息子が、騒々しく家に帰ってきた。
額の汗を拭いながら、息子は私に言う、
「父さん、絶対あの川の工事、中止した方がいいよ!だってあそこカッパがいるんだぜ!」
私が、息子の学校の近くの川を埋め立て、ダムを建設する工事の責任者だということを、息子は知っている。
だから息子は、私に工事を中止して欲しいと何度もお願いするのだ。
遊び場所が無くなるのが、悲しいのだろう…
「いいか、工事を中止することなんて出来ないんだ。お前らの遊び場所が無くなるのは可哀想だが、しょうがないんだ。わかってくれ…。」
息子が口を曲げて、言った。
「父さん知らないよ。カッパに呪われちゃうんだから…」
カッパの呪いか…
私は、自分の仕事部屋に戻り呟いた。
息子よ、お前の言う通りだ。父さんカッパの呪いを受け入れたんだよ…
お前達を食わして行かなければならないからな。
私は、すっかりハゲた自分の頭のてっぺんを擦りながら、泣いた…
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話