短編2
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お手玉

 私は小さい頃、人形と一緒に寝るのが好きでした。色んな人形を布団に持ち込みましたが、中でも大人の親指くらいのプラスチック製の人形と一緒に寝るときは、私の布団を一緒にかけてあげると翌朝には布団の間に紛れて無くなってしまうので、お手玉を敷布団に、ハンカチを掛け布団に見立ててベッドを用意し、それを枕元に置いて一緒に寝ていました。

そして、そんなふうにして眠ったある日。いつものように目覚め、こえだちゃんとみきおくん(人形の名前です)は起きてるかな?と枕元に目をやったところ、敷布団代わりにしていたお手玉が、こえだちゃんのもみきおくんのも二つ共ぱっくり割れてしまってたんです。私は布団の上を汚してしまったことを不快に思いながらも「あとでお婆ちゃんに言って何とかしてもらおう」と二つの人形だけ握り締めて布団を出ました。お手玉からは、今思えばそば殻か何かだったんでしょうが、細かい砂利が溢れているように見えたのを覚えています。

さて、問題はその砂利なんですが、私が布団から出て数歩あるくと、後ろで何か気配がするんです。「?」と思って振り返ると、何だか砂利の位置が少しずれてる気が。不振に思って砂利を見たまま一歩、二歩、と進むと砂利も私のスピードに合わせてついてくるではありませんか!びっくりした私は急いで母の元に走りました。

「おかあさ~ん!!」叫ぶ自分の声に混じって砂利が畳の上を進む「ザー」という音も聞こえます。母に異変を報告したところ「石が人形じゃなくてあんたを追いかけるのね、分かった分かった、大丈夫よ」と何だか分からないことを言っていました。(後に確認したところ、訳が分からないけど一応なだめたと言ってました)

その話は同居の祖母にも報告され、気の大きな彼女は私を石のそばまで連れて行って何もないことを確認させようとしましたが、私が異様に怖がった為、母がずっと抱っこしていてくれました。石は私の寝ていた部屋と居間との境でぴったり止まっていました。

その後は動く様子もあまりなく祖母がへっへっへと笑いながら「大丈夫よ」と掃除機でその砂利を吸い取ってくれました。子供ながらに「ばあちゃん、そんなもん吸って大丈夫か?」と思ったのを覚えています。あまりに意味不明な出来事で、思い違いかな、と思ったりもしたんですが、母もその騒動を覚えているし、それ以来お手玉もありません。やっぱりあの時割れちゃったんでしょう。

ついでにあのお手玉はひいお婆ちゃんの手作りだったそうです。関係あるのかな?とか。

体験した当初はびっくりしましたが、今思い出して書いてみる分には全くおどろどろしい感じもしません。変な体験。長文お付き合いいただきありがとうございました!

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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