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中編4
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神霊学研究会 一枚の写真

某大学文学部の学生だった頃、俺の趣味といえば心霊スポット巡りだった。

暇さえあれば、ネットでみつけたヤバそうな所に、当時俺の足だった中古のサニーでお邪魔させてもらった。

自殺橋、病院の廃墟、廃ラブホなどいろいろ行ったが、基本的にチキンである俺は、出掛けるのはもっぱら朝で、夕方までには取材?が終わるように計画を立てていた。

霊感が無い上に、明るい内に行動するもんだから、心霊体験なんて全く無く、多くの自殺者の霊がさ迷う湖、なんてネットで見て期待して行ったら、バス釣りに来てる輩がたくさんいたりして、拍子抜けするような事も沢山あった。

俺は自身オカルトマニアの癖に、同じような趣味を持つ奴を、

(こいつキモ!)

と馬鹿にするところがあって、基本1人で行動していたのだが、さすがに、あまりにも緊迫感がないもんだから、

(夜、ここに来たらさぞ怖いやろな)

などと、もっとピリピリした恐怖を味わってみたい、と望む事が多くなった。

前述したように、俺は基本怖がりだから、怖い場所に夜1人で行くなんて絶対にありえない。

そこで大学の掲示板に、

【一緒に心霊スポット行ってくれる人募集】

という内容の文書をパソコンで作って貼っておいた。

そしたら何と、1時間も経たない内に、俺の携帯に電話がかかってきた。

それが、神霊学研究会という、ダサイ名のサークルとの出会いだった。

かけてきたのはそのサークルの部長Mで、見た感じ銀行員風の、神経質そうな痩せ男だった。

彼は、このサークルは、基本入退部は自由である事、部員は全部で30人は居る事、毎月の第4土曜日だけは、万障繰り上げて部室に顔を出して欲しい、というような事を言った。

束縛があまり好きではない俺にはピッタリだったので即、入部を決めたのだが、その手続きが意外に面倒だった。

履歴書みたいな紙を出され、現在の住所はもちろん実家の住所と電話番号まで書かされた。

住所に嘘が無いかと免許証の写しまで求められ時には、さすがに一瞬、

(こいつ何?)

と思ったが、俺の気持ちを察したのか、

「樹海で行方不明なんかになったりした場合困るんですよ」

と、Mは少しにやついて言った。

(この男とはうまくやれねーかも知れねーなあ)

そう思いながら、その日は部室を後にした。

ああ、部室を出る時、Mは俺に聞いてきたっけ。

「今、一番行きたい所はどこですか?」

俺は答えた。

「G県と、S県の県境にある○○湖です」

Mは

「いいとこに目つけてますねえ」

と笑っていた。

俺の目的は、スポット巡りの相棒を探す事だから、第4土曜日に顔を出せばいいくらいに考えていたが、入部した1週間後くらいに電話がかかってきた。

サークルのメンバーでKと名乗る男だった。

「○○湖、僕も興味あるんで、一緒に行きませんか?」

と言う。

願ってもない話で、俺はすぐOKして、大学の近くにあるマックで打ち合わせする事にした。

「部室で会うのはヤだな〜」

俺が言うとすぐ、

「僕も苦手ですー」

と返してきた。

(Kとは気が合うかもしれん・・・)

マックには、Kの他にFという名前の男も来ていた。

Kは落ち着いた雰囲気の好青年って感じの奴だったが、Fは今でいうチャラ男って感じで、俺の最も苦手なタイプだった。

俺とKは同じ二回生、チャラ男は一回生で、高校時代、卓球部でKの後輩だったらしい。

「スポット探索は3人がベストなんですよ」

Kが言う。

2人なら、片方に万が一の事が遭った場合、警察に事件性ありと疑われる可能性があり、4人以上だと緊張感が損なわれるらしい。

俺は内心

(人数は多いに越したことないのになあ)

と思ったが、最初からビビリだと思われるとシャクなので黙っておいた(チャラ男には特に!)。

「神霊学のしんって、心の間違いじゃないの?」

俺は入部以来気になっていた事をKに聞いた。

「ああ、僕も最初そう思って部長に聞いたんですけど、お化けを研究したって、一文にもなりません、憑依されて病気になったり、気が触れたりでろくなことはない、」

「はあ・・・」

「そこに神が存在して、悩める霊たちを救えてこそ、研究する甲斐があるってもんでしょう、とか言ってました」

Kは真面目な顔で言った。

俺は部長の顔を思い浮かべ(あいつの言いそうな事だ)と思った。

「S(俺の名)さん、部長本気で日本中の迷える霊たちを成仏させようと考えてるみたいですよ」

(・・・)

俺は真剣、すぐにでもサークルを止めようと思った。

ごめんなさい、続きます

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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