母方の祖母の家には言い伝えがあります
『再会』の続編だと思いつつ御覧下さい
12歳で怖い目にあった私は、その夏左目に怪我をしました
それまでにも、傷痕が残るような怪我はしていましたが、この時の母の慌て様はいつもとは全く違うモノでした
その時、本棚の前で座って本を読んでいた私は、本をしまう為に立ち上がりました
棚の上部の観音開きの扉が片方だけ開いており、ガラス戸の下部に立ち上がりざま顔をぶつけて怪我をしたのです
しかし、扉を開けた覚えがなく…本は棚から出しっぱなしの物を手に取っただけでしたから
縫うほどの怪我ではなかったものの、目蓋は腫れて目が開けられず…痛み止めを飲み早々に眠ってしまったようです
その夜に夢をみました
丘の上が白く燃え立つように空気が揺れて、何か大きな生き物が現れたのを見上げている私に、ソレはゆっくりと丘から降りて近づいてきたのです
馬でした
白と灰色の毛並でとても大きな…
馬は正面に立ち私を見下ろしていましたが、何か鈍い音がしたと思うと倒れてしまいました
左目に矢が刺さっていて右側に貫通している矢尻をみて、急に怖くなり目が覚めました
母親に話すと驚いた様子で
『その話を…なんで?』と言うのです
何か様子がおかしいので慌てて続けて話しました
『いやあ、夢だけど!ホントびっくりした。ズシャって倒れて…目が怖かったし』
その日はそれ以上話しませんでした
傷痕と痛みが落ち着いたある日の事、母が言い伝えについて話をしてくれたのです
話は次のようなものでした
昔、○出家には立派な馬がいたと言うが、その馬は頭が良くまるで人のような意思を示して、人を選んで態度に示すような事も普通にしていたと…
普通の馬でも多少同じような事をするだろうけれど、その馬は家中で恐れられ敬われていたようです
ある時、跡取り息子が自分を乗せようとしないその馬を生意気に思い、馬に向かって矢を放ち、当たった場所が左目で…その傷痕がもとで生き絶えたと言うことです
それ以来○出家では男子が絶えてしまい、女の子しか育たないので婿を取っていると…
家は段々と傾いて行き、ある時に僧侶に相談した所『呪は馬のものですね』と言い当てられ、祖母の実家では対策に悩んだそうです
僧侶は次のように言っていたと伝わっています
続く
怖い話投稿:ホラーテラー フクさん
作者怖話