階段をかけ登り正面玄関に停めてある車に飛び乗り、アクセル全開で病院を後にします。
車の中では皆無言。
さっき起きた現実が理解できぬまま車を走らせ、気付けば家の前でした。時間は夜の3時半でした。
家の前でAが沈黙を破ります。
A「最後何て聞こえた?」
俺「何とか…か?かな。‘か’しか聞こえなかった」
B「早くて聞き取れなかったよ」
A「俺は‘けか’とか言ってたような気がしたけど」
俺「とりあえず無事に帰って来たんだし、酒でも飲んで撮ってきたビデオでもみようぜ」
ここで俺達3人にやっと笑顔がこぼれます。家に入り酒とつまみを用意してる時に何気なく2人に体は大丈夫か聞いたら、2人揃って大丈夫との事。一安心してスタンバイ完了。
ビデオを再生します。
まずは正面玄関のシーン。3人とも心なしか目をギラギラさせ、「何か」を期待させるような会話に笑顔も見えます。階段を登って3階に到着。画面にはAと俺の後ろ姿です。Aは汚ねぇ~とか言ってるし、俺はというと完全に挙動不審状態。それを見てAとBが笑ってます。そうこうしてるうちに画面は2階。皆酒の勢いもあってか、呑んで食べてであまり画面を見てません。
画面は2階から1階に降りて行くシーン。
するとBが言います。 「今A階段降りるときに何か蹴らなかった?」
俺とAの手が止まります。巻き戻して3人とも息をのんで見ると、Aが階段の踊り場の隅の方にある何かを蹴りました。もう一度巻き戻してスローで見ると…
花と缶ビール、緑色のモノ…多分線香の束です
俺とBはAを見ます。
A「全然気付かなかったし、暗くて分からなかったし…知らないよ!」完全にテンパってます。
画面は1階に到着。線香の匂いがしたとこです。画面にはちょうど「線香の匂いが…」と言ったとこで…
「ウァァァァァァァァァァァァァァァ~~~~~~~~」
突然TVから呻き声が。Aがリモコンを奪い取り上げ停止。さっきまでの笑顔が一瞬で吹き飛びます。
A「なんなんだ今のは?」
俺「あんな声聞こえる…わけないよね?」
B「聞こえてたらわかるはずだし、皆で逃げてるよ!」
Bは今にも泣き出しそうでした。
Aが切り出します。
A「とりあえずどうする?見るか?」
俺はすかさず見ようと答えると、Bも少し間を置き見ようということになりました。
再生ボタンを押して食い入るように3人はビデオを見ました。
これから見るものは一生後悔するものと知らずに…
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名で…さん
作者怖話