短編2
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引っ掻きながら来るもの

中学生の時の体験です。

当時の家は平屋で狭い家でした。

夜は、8畳の子供部屋で家族3人で寝ていました。

私は、窓際にハイベッドを置いて寝ていました。上から見ると川の字で並んでいます。

ベッドのスグ横には勉強机があって、

その横には出入り口のふすまがありました。

ある夜の事です。

欲しかった目覚まし時計を買ってもらった、という事もあったのかも知れません。

夜中にふと目が覚めました。

真夏ではなかったので、寝苦しいという事もなかったのですが、

なんとなく寝付けずにゴロゴロしたり、下で寝ている家族を眺めたり時計を触ったりしていました。

1人部屋ではないので、電気を点けて本を読むわけにもいかず、

枕もとの時計があるのを確認してふたたび目をつぶりました。

その時です。

反対側の床からカリカリ・・・と畳を引っ掻くような音がしました。

始めは下で寝ている家族がやっているのかと思い見てみましたが、

音がした場所と思われるところからは離れて寝ていましたし、

まったく動いた様子がないので「あれ?」と思いました。

でも、薄明かりでしたが他に何かあるような感じもしなかったので気のせいかと思い再び目をつぶりました。

やはり、またカリカリ・・・と音がします。

しかも、壁伝いに私の方へ来るのです。

「机があるし、ベッドも高いし大丈夫だろう」

と思っていたんですが、

机を上る音がして・・・

机の本棚の教科書の上をはう音がして・・・

もうドキドキで見れず、布団を頭からかぶり「来ないで、来ないで」と思っていました。

ついに、私のベッドの枕元に来てしまいました。

その瞬間、気を失ったようで気付いたら朝になっていました。

部屋も私も特別変わったことはなかったんですが、

なぜか「女の人の右手」だったような気がしました。

夢か現実か分かりませんが、

手がかかわる恐怖体験はこれだけではないので

間違いなく手だったと思います。

いまだに不思議です。

怖い話投稿:ホラーテラー ぶいぜるさん  

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