「このゲ-ムは逃げたら勝ちだ。捕まったらゲ-ムオ-バ-。なぁに、殺したってリセットすれば元通りさ。」
■逃げたら勝ち ~マンホ-ル~
「今日は何を買おうかしら。」
女性が、いつもの様に、都心の町で買い物を楽しんでいた。
今日は何を買おうか、どんなファッションにするか。そんなことを考えていたに違いない。
そして、悲劇は起こった。
タッタッタッタ
足早な足音。
だんだん近くなってくる。怖い・・・。
ダッダッダッダッ
ガッ!
「え・・・・・?」
痛みを感じ、その目をむけた先は赤く血が滲み始めていた。何?と思いながら前を見ると、ぶかぶかの服の男が去っていく。
こんなまッ昼間に通り魔?
でも女性は軽めの傷ですんでよかったと思うことが出来た。何故なら、通り魔なのに死なずにすんだし、切り傷程度で済んだからだ。
でも、ふと視界に入ったマンホ-ルが不気味で仕方なかった。
その現場を見ていた人がいて、女性は警察に状況を聞かれたが、切られた事と、逃げた男の姿ぐらいしか、手がかりは無い。
「その男、ぶかぶかの服じゃあなかったか?意外と背丈は小さかったり・・・?」
「あ・・・。」
そういえばそうだったかもしれない、と女性は思った。背丈は私より小さかった。小学生くらいだろうか?
「それで、近くにマンホ-ルがあったとしたら、思い当たる節があるんだが、どうだったろう?」
マンホ-ル。
不気味でならなかったマンホ-ル。確かにそこにはあった。
「やっぱりそうだったか。最近その手の事件が多くてな、近くにはマンホ-ルが必ずあるんだ。」
女性は恐怖を覚えた。
「え・・・・?」
警察の話によると、こういうものだった。
―
あのな、この間もそういう事件があってな、被害者が男性だったんだ。
それで刃を受け止めたんだと。
そして見たらな、顔が小学生程度のガキだったんだと。
それを聞いた時にはぞっとしたさ。
それに、その少年はこんな事も言ったらしい。
「離してよ。このゲ-ム、捕まったら終わりなんだから。」
俺が推測するには、ゲ-ム感覚で人を殺し、マンホ-ルに逃げ込んでいるのであろう。
あいつ等はゲ-ム脳しか持ち合わせていないからな。それに、殺したらリセットすれば良いという考えも持ち合わせているのだろう。
―
女性は体の震えが止まらなくなった。
怖い。
怖すぎる。
警察とはその話を聞いた後で別れたが、もし何かあったらと、名刺を渡された。
そして、しばらくの月日がたったころだった。
その女性は、夜の帰り道だった。
すると足音が聞こえてくる。
ダッダッダッダッ
女性はハッとなり、あの時の事がフラッシュバックする。
ザクッ
「逃がしはしないよ?僕の獲物なんだから。コレであんたを殺せば僕が一位になれるんだから。」
ドサッ。
その場に女性は倒れこんだ。
もう二度と目を開けることは無いだろう。
―
「今日も僕の勝ちだね。」
ヘッと自慢げに一人の少年が鼻を鳴らす。
それを見た、もう一人の少年は
「明日は勝ってやるからな」と言い返した。
怖い話投稿:ホラーテラー 石動さん
作者怖話