また長いです。
そしてこの話の次が、いよいよラストです・・・
一気に読んで欲しかったため、一気に書きました。
よかったら読んで下さい。
続きです・・・
「Aが何故出てきているんだ・・・。それに今までの日記と違う。
家具付の部屋じゃない。まるでAが紹介したみたいじゃないか・・・。
何がどうなっているんだ。」
僕は混乱する・・・
だってそうだろう?今まで出てこなかったAが出てきたんだ。
今までのノートの最初の日記はどれも内容は同じ。
家具付の部屋を手に入れる所から始まっている。
だがこの日記は最初から違う。
でも日記に書かれている事は実際に起こったこと。
ということはAも過去に存在したということなのか・・・
僕はもうノートを読むしかなかった。
ノートには一日一日の日記が書かれていた。
「4月12日、今日はAと一緒に家具を買いに行った。
初めてだ。友達と買い物に行くなんて。
こんなに楽しいものなのか。
ああ、本当に友達っていいなあ。
でもAは何でこんな僕と友達になってくれたのだろう?
でもそんなこと思っても仕方ないな。
Aは最高にいい奴。それは間違いないのだから。」
やっぱり違う。他のノートと明らかに違う。
他のノートの日記はこの日に手紙が来ることになっている。
でもこのノートには手紙が来ていない・・・
「4月20日、今日事故にあった。怪我はたいしたことはない。
会社に連絡をしたら休めと言われたから休んだ。
心配してAが来てくれた。本当にいい奴だ。
今まで心配してくれる友達なんていなかったんだから・・・
Aが来たとき、僕は涙を堪えることで精一杯だった。
Aが帰ったら、思いっきり泣いた。
それくらい嬉しかったんだ。」
ここは一緒だ。この僕もこの日に事故にあっている。
それからの出来事は他のノートの日記の内容と一緒だった。
ただ違うのはAが所々出てきている事。
Aとの出来事は他の日記には出てこない。
「3月12日、Aが居なくなった。
会社に来ない・・・電話してもこの電話は使われていない事になっている。
会社の上司にAはどこだと聞いたが、
「何言っているんだお前。Aなんて社員は最初からここにはいないぞ。」
と言われた。じゃあ僕が今まで会っていたAは何なんだ?
でも確かにAは居たんだ。
Aの住んでいる所に行きたかったが、何故かAは僕に教えてはくれなかった。
僕は住所を教えたがらないAに詰め寄ったが頑なに拒否された。
部屋が凄い汚いか、ボロくて僕に見せたくないだけだと思っていた。
僕は気になったが我慢した。ここでしつこく聞いたらAに嫌われるんじゃないかと思ったからだ。
誰にだって言いたくない秘密はあるし。
それに僕はAに嫌われることが何よりも怖かったんだ。
会う時はいつも会社か、僕の部屋か、買い物や遊びに行く時だった。
でもこんな事なら無理にでも聞いておくんだった・・・
でも今日ポストに封筒が入っていた。
宛名はAからだった。中には手紙と鍵が入っていた。
Aはここにいるのか?僕はもう行くしかなかった。
Aに会いたい・・・それだけを思って。」
これが最後の日記だった。
「もう訳がわからない・・・理解できない・・・」
もう僕の頭はパニックになっていた・・・
でも分かったことが3つある。
1つ目はこの日記の僕には、僕からの手紙が送られて来ないという事。
だからこの日記の僕はただの日常の日記になっている。
2つ目はAとの出来事以外、NO2のノートの内容と一緒だと言う事。
所々違う点もあるが、内容は一緒だ。
そして日記は、4月1日~3月12日で終わっているのも一緒だ。
そして3つ目、これが一番の謎。
鍵と手紙を僕に送ったのはAという事。
という事はAはこの住所を知っているということなのか・・・
そしてこの日記の中のAは僕が知っているAなのか・・・
それはまだ分からない。
それを知るためには、この僕(1人目)に送られてきたAの手紙を読む事が必要。
そしてその手紙の筆跡と送り主(22人目)に送られてきた手紙の筆跡を見比べれば、僕が知っているAなのかが分かる。
何故なら僕は、送り主(22人目)に手紙書いて送っていない。
書いて送ったのはAだからだ。
手紙は箱の中にある。僕は手紙を調べた。
「手紙にも番号が書いてある。」
正確にはそれぞれの手紙の束に、番号が書かれた紙が貼ってある。
これもNO1~NO22まである。
でもNO22だけは束じゃなく、一枚の手紙だけだった。
だから僕は最初、手紙の束は21束しかない、と思っていたのか・・・
何故NO22だけ一枚だけなのかは、僕は送り主(22人目)に一枚しか手紙を送っていないから。
ということはNO1の手紙はこの日記を書いた僕(1人目)が受け取った手紙という事。
それくらいもう分かる。
僕はNO1と書かれた手紙の束を解く。
各手紙にも番号が書かれていた。
僕は迷わず、NO1と書かれた手紙を手に取り読んだ。
「〇〇、最初に謝っておく。
本当にすまない・・・こんなことに巻き込んで・・・。
初めてお前を見たとき夢かと思ったよ。
本当に嬉しかった。ずっとお前に会いたかったからだ。
今お前は混乱しているだろう。
だって俺の存在はもうこの世から消えた事になっているんだからな・・・
おれ自身びっくりしているんだ。
まさか現実に起こってしまうとは思っていなかったからな・・・
でもここで事実を話してしまうと、俺がお前に会った意味がなくなってしまう・・・
だから俺は必死に事実を隠した。
本当はもっとお前と一緒に居たかった。
でももう時間のようだ。
この手紙と一緒に鍵を入れておく。この住所は以前俺が住んでいた場所だ。
俺にもう一度会いたいのならそこに行って欲しい。
俺はお前にまた会いたい。
だから行って欲しい。
お願いだ〇〇。俺を信じてくれ。
Aより。」
どういう事だ・・・Aは以前から僕のことを知っていたみたいな内容だ。
でもこれで分かる事が一つある。筆跡だ。
僕は送り主(22人目)に送られてきた手紙と見比べる。
筆跡は同じ。ということはこの日記に出てくるAと僕が知っているAは同一人物という事。
これに送り主(22人目)が気付いたかは分からない。
送り主(22人目)の2ノートにはただ返事が来た、としか書いてなかったからだ。
でもこれだけじゃ分からない事がある・・・僕は自然とNO2と書かれた手紙を読んだ。
「〇〇。この手紙を読んでいるという事は、お前は俺を信じてくれたんだな。
本当にありがとう。
だが残念な事に今お前に会うことは出来ない。
でも会える日は必ず来る。だからこの指示に従って欲しい。
① 3月31日に今のマンションを解約し、ここに来る。
② 家具は置いていく。(絶対に置いていく。)
③ 4月1日に新聞を読む。(ここで生年月日が変わらなければお前は俺に会える。会えたら当たり、会えなければはずれだ。)
④ 4月12日に自分宛に書いた手紙を今のマンションに届くように送る。
(自分だと知られないような内容で)
⑤4月12日以降の出来事を手紙に書き、今のマンションに送る。(絶対に俺(A)の名前、俺(A)との出来事は書いてはならない)
⑤ もしも③の段階ではずれなら、お前はもう今のマンションには帰ってはならない。そしてここに住む。
⑥ もしはずれの場合、この指示に従う。ただしお前(1人目の僕)は従わなくていい。(内容は送り主(22人目の僕)
がここに置いた手紙の指示)
⑦ お前がここに来る前の日記ノートに1と書き、ここに来てからの日記ノートに2と書き、それをこのテーブルの上に置く。⑥の指示を書いた手紙と一緒に自分への手紙を書き、それも置いておく。
⑧ 1ノートと2ノートに番号を書く。今のマンションに来た俺かお前からの手紙を押入れの中に入れる。(手紙は束にまとめ、番号を書いた紙と一緒にまとめる)
⑨ 番号はお前はNO1と書く。それ以降はそれに続くように書く。
⑩ もしNO1以降の番号と書かれたノートがテーブルに置いてあったら、その置かれているノートも押入れに入れる。
⑪ 当たりなら今のマンションにすぐに戻る。
以上だ。この指示に従っていれば必ず俺に会える日がいつか来る。
そして当たりなら・・・お前は真実を知ることが出来る。
それまで頑張るんだ。〇〇。俺はお前を愛している。」
Aが書いた手紙は、この2通だけだった。
残りの手紙の筆跡は僕だったからだ。
(正確には2人目の僕が1人目の僕に送った手紙。)
でも僕はまだ驚かせられることになる・・・
その手紙には写真が貼り付けられている。
写っていたのは、この部屋で笑顔のAと幼い子供。
その子供は・・・僕だった。
「まさか・・・Aは・・・僕の父さんだったのか!!」
その時僕は消えていた記憶が蘇る。
僕は幼い頃、Aと母親とここで暮らしていた事。
だからこの町に来たとき、何故か懐かしく感じたのはそのせいか・・・
そして3歳の時に事故に遭い、両親は死んだ。
僕は辛うじて一命を取り留めたがそのショックで記憶がなくなった事。
そして退院し、施設に入れられる。
引取り人が何故いなかったのかは、今はまだ分からない。
この時僕は今までの出来事が繋がった。
何故Aは僕(1人目)のことを以前から知っていて、会いたかったのか。
愛していると言ったのか。
それは僕はAの子供だったからだ。
そしてAは僕の父親だ。
父親なら自分の子供かくらい分かるだろう。
当時の面影などで。父親なら当然だ。それが親子というものだ。
僕は父親の顔を知らなかったから、気が付かなくて当たり前だが・・・
そして何故1人目の僕がこのような指示に従ったかという事。
だって父親なのだ。
父親と分かった時にはもう居ない。大好きな父親にやっと会えたのに。
もっと話したい事があったのだろう。
もう一度でいいから会いたかったのだろう。
2人目~22人目の僕も、顔など忘れていた父親にもう一度会いたい。
会って話がしたいと、思ったに違いない。
大好きな父親に会うために皆、Aの指示に従ったのだ。
いつか会える・・・そう信じて・・・
そして皆、真実を知りたかったんだ・・・
「でも待てよ・・・僕(23人目)はA(父親)に会っている。
もう一度、父親に会えていたってことになる。
どういうことだ・・・」
僕はそれを確かめるために、A(父親)に電話した。
・・・繋がらない。この電話はもう使われていない事になっている・・・
僕は急いで帰る・・・A(父親)を探しに・・・
もしかしたらまだいるかもしれない。そう期待して・・・
だがA(父親)はもういなかった・・・
会社の上司にも聞いたが1人目の僕同様、居なかった事になっている。
Aの住所を僕は知らない。理由は1人目の僕と一緒だ。
とことん探した。
毎日毎日探した・・・A(父親)と一緒に行った所、A(父親)が行きたいと言っていた所。
でもA(父親)はどこにも居ない・・・
「もう会えないのかな・・・やっと父さんが誰なのか分かったのに・・・
父さん・・・何で居なくなったんだよ・・・
いっぱい話したいことがあるんだよ・・・父さん・・・」
毎日泣いて、毎日後悔して、毎日探して・・・
僕はもう疲れ果てていた。日記なんて書いている余裕はなかった。
だから日記はどれも3月12日で終わっているのだろう。
1人目の僕は今の僕と同じ気持ちで・・・
2人目~22人目の僕は1人目の僕の日記を見て、A(父親)のことを知り、調べたりしていたのだろう。
そして日付は3月31日。
結局A(父親)は見つからなかった・・・
僕はA(父親)の指示通り行動し、このアパートで4月1日の新聞を待つ・・・
4月1日・・・急いで新聞を読む。
!!!!!
生年月日は変わっていなかった。
僕は当たりだったのだ。ということはまたA(父親)に会える!!
「父さんに会える・・・」
そう思い、僕は急いでマンションに向かった・・・
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話