祖父が寝室に下がってしばらくすると、それは始まる。
「£†々ゞ〆☆!!!」
何を言っているか聞き取れないが、家中に響く怒鳴り声だ。
時にはドスドスと動き回る音もする。
これが一定の間隔を開けて一晩中続くのだ。
今思えば祖父は夢遊病だった。
原因は分からない。
私が物心付いた時から亡くなるまで、ずっとそういう人だった。
入院した時は必ず個室にしてもらい、時には病院の判断で手足をベッドに縛り付けるほどひどかった。
「お爺ちゃん今日の寝言激しいねー」
宿題をしながら言うと、
「いい夢見てるんでしょ」
母が返す。
今思えば、寝ボケで済ます家族が一番怖い…。
怖い話投稿:ホラーテラー インカローズさん
作者怖話