父の死因は凍死でした…
真冬に酒を飲み、駅前で寝てしまったため帰らぬ人になったのです。
親しい親族もいなかった私達は、家族と近所の人だけで静かに葬式を行いました。
父は酒好きのだらしない人でしたが、心は優しい人でした。
父を火葬する時、母も私も泣いてしまいました。
母は、父によく暴力を振るわれていましたが、やはり父が好きだったのでしょう。
火葬の前に、父の好きだった物を一緒に棺に入れました。
日本酒、煙草、私と母の写真、携帯電話、ウィスキー…
天国に行っても、大好きな酒を飲んでください。
父を燃やす煙が火葬場の煙突からモクモクと出ていました。
その時、私の携帯電話が鳴りました。
それは父からでした…
「ガアアアア…熱い熱い熱いいい……出せええ…ここから出せえええ…熱いいい…」
すぐに火葬は中止され、父は火葬炉から出されました。
真っ黒に焦げた父の手には、しっかりと携帯電話が握られていました…
父の死因は焼死でした…
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話