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短編2
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デンシャ

ある日、男はいつものよう仕事を終わらせて電車に乗った。

その日は残業で少し遅かった。

会社は都心部で、時刻が遅くても駅には結構な人数がおり、電車に乗り込んだときもそこそこの人数がいた。

男の家は郊外にあり、電車でも一時間近くかかる。

時刻が遅かったせいか、家に近付くにつれ、電車の中は人がいなくなり、ついには一人になった。

乗っている間、ボーッと外を眺めていたのだが、ある事に気付いた。

一定の間隔でスーツに帽子を深く被った男性が見える。

最初は別にいつも見るような会社員なので気にもとめなかったが、通り過ぎる風景の中で、いる。

暗いのと帽子のせいで顔はわからないが、確かにいる。

男はパニックになった。

電車に追いつけるわけがないし、追いつけたとしてもそんなことをする意味がわからない。

怖くなった男は気のせいだと自分に言い聞かせ、見ないように目を閉じて寝ようとした。

だが、心臓はバクバクで目を閉じると余計にあの姿が鮮明に思い出させる。

すると、電車は駅に着いたようで、止まった。

ふと、目を窓の方に向ける。

ヤツがいた。

扉の前に。

入ってくるのではないかとうずくまって怯えていたが、その気配もなく電車は動いていった。

ホッとして顔を上げ、隣を見ると、ヤツが立っていた。

男は放心状態でヤツの顔をみた。

別に特徴のない無表情な顔だった。

男は殺されると思い、逃げようとした。

しかし、肩をものすごい力で掴まれ、止められた。

そしてヤツはこう言った

「お迎えに上がりました。」

その瞬間、男の意識が飛んだ。

気付いたときは病院のベッドの上だった。

家族に聞いたところ脱線事故が起きたらしい。幸い乗客は少なく、被害はあまりなかった。

だが、男はその事故で右足を失った。

その夜、これからどうしよう…などと、途方にくれていると、ヤツがいた。

ヤツはこちらを向くと一言こう言った。

「またお迎えに上がります。」

そう言ってニヤリと笑った。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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