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短編2
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葉っぱ

俺は学生時代からバックパッカー旅行が趣味である。

ツアーにはない安さと気軽さに病みつきになったのだ。

去年も南米のインディオに逢いに出かけた。

たまたまそこで知り合った同じ日本人の女の子がいた。

彼女は所謂、「沈没組」であった。

沈没組というのは、何らかの理由でその場所から離れられなくなってビザも切れたのにウロウロしている者を言う。

大抵は麻薬か女で金がなくなったりして動けなくなる者が多い。

女はシノブと言った。

シノブは明らかにジャンキー化していた。

しかし、俺は可哀想だからと飯を食わせたりなどして、つきまとってくるのを拒みはしなかった。

ある時、シノブは恩返しのつもりなのか、珍しい葉っぱを分けて貰ったと言って持ってきた。

コカの葉の突然変異だという。

ちなみにコカというのはコカインの原料になる物のこと。

彼女は自分のルートで手に入れたのだという。

俺のドミトリーに来て、さっそく袋の中から二枚ほど取り出すと噛みだした。

シノブは俺にもやってみろと強引に勧めて来た。

しかたなく試してみた。

肉厚の葉っぱだった。

噛むと苦い汁が口に溢れた。

しかしそれでも我慢して噛んでいた。

しかし結局、俺には合わなかったのか、何の変化もない。

代わりにシノブはポーッとしている。

しかし金は俺が払っていたため、元を取らなきゃと思い俺もどんどん試そうとした。

3枚同時に噛んだ。

なんだか、酷く嫌な味がした。

たまらず吐き出すと白い粒が浮いている。

気持ちの悪くなった俺はシノブに残りを全てあげることにした。

それから二週間ほどして目的を果たし、俺は帰国した。

シノブとはドミトリー前で手を振って別れたきり会っていない。

帰国して暫くした朝、起き抜けの喉がムズムズする。

歯を磨いていると口のなかに消しゴムのカスのようなものが溜まる気がする。

慌てて口をすすいで、鏡を見ると歯茎の間から小さな蛆のようなものが、うじゃうじゃと湧いていた。

俺は悲鳴を上げるとすぐ近くの医者に駆け込んだ。

聞くところによると、あれはどうも葉っぱではなかったらしい。

葉に良く似た昆虫だった。

卵が歯茎のポケットに入ってそこで温められてかえったらしい。

シノブは知ってか知らずで買い込んできたようだった。

それから俺は苦味の強い野菜は食べられなくなった。

怖い話投稿:ホラーテラー 達人さん  

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