短編2
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慣れ

慣れって、恐いよね。

随分昔に見て、恐怖にオノノイタ【シャイニング】って映画、久し振りに見たけどちっとも怖くなかった。

【リング】も【呪怨】もどうって事ない。

カヤコなんか美人に見えるし、トシオ君なんか、可愛くって抱き締めたくなる。

今、後ろの壁から手を出して、俺の髪を引っ張ってる奴がいる。

いつもの奴だ。

「もう飽きたんだよ!他にする事はねえのか!テメエはよお!!」

俺は後ろの奴を怒鳴り付けた。

奴は驚いたのか、髪の毛からパッと手を離した。

振り向くと、腐って、所々骨が覗いてる両手が壁に消えて行くところだった。

今度はベッドの下から、身体中がグズグズに爛れた女が這い出してきた。

「くっせーんだよ!シャワー浴びて出直して来い!!」

女は申し訳なさそうに上目遣いでちら見すると、オズオズとベッドの下に戻って行った。

ガシャ!ガシャ!!ガシャ!!!

いつもの時刻。

血まみれの日本刀を手にした鎧武者の登場だ。

こいつからは過去何度も切り刻まれてきた。

さすがに、この痛みだけは慣れない。

ただ、どんなに逃げ回っても結局いつも捕まって、八つ裂きにされる事を俺は知っていた。

俺は覚悟を決めた。

「殺るならさっさと殺れ!このっっっ!くっされ侍!!」

鎧武者が刀を振り上げる!

俺は静かに目を閉じた。

左肩から右の肺にかけて鋭い痛みが!!

あれ??痛くない・・・

ってか、なんか気持ちいい・・・

怖い話投稿:ホラーテラー 嗚呼!神よ!!さん  

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