慣れって、恐いよね。
随分昔に見て、恐怖にオノノイタ【シャイニング】って映画、久し振りに見たけどちっとも怖くなかった。
【リング】も【呪怨】もどうって事ない。
カヤコなんか美人に見えるし、トシオ君なんか、可愛くって抱き締めたくなる。
今、後ろの壁から手を出して、俺の髪を引っ張ってる奴がいる。
いつもの奴だ。
「もう飽きたんだよ!他にする事はねえのか!テメエはよお!!」
俺は後ろの奴を怒鳴り付けた。
奴は驚いたのか、髪の毛からパッと手を離した。
振り向くと、腐って、所々骨が覗いてる両手が壁に消えて行くところだった。
今度はベッドの下から、身体中がグズグズに爛れた女が這い出してきた。
「くっせーんだよ!シャワー浴びて出直して来い!!」
女は申し訳なさそうに上目遣いでちら見すると、オズオズとベッドの下に戻って行った。
ガシャ!ガシャ!!ガシャ!!!
いつもの時刻。
血まみれの日本刀を手にした鎧武者の登場だ。
こいつからは過去何度も切り刻まれてきた。
さすがに、この痛みだけは慣れない。
ただ、どんなに逃げ回っても結局いつも捕まって、八つ裂きにされる事を俺は知っていた。
俺は覚悟を決めた。
「殺るならさっさと殺れ!このっっっ!くっされ侍!!」
鎧武者が刀を振り上げる!
俺は静かに目を閉じた。
左肩から右の肺にかけて鋭い痛みが!!
あれ??痛くない・・・
ってか、なんか気持ちいい・・・
怖い話投稿:ホラーテラー 嗚呼!神よ!!さん
作者怖話