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短編2
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コロセ

『コロセ』

 何の気なしに見た教室の壁に書いてあった落書き。見落としてしまいそうなくらい小さな文字で。少し嫌な気分になったので、指でこすって消してみた。

『コロセ』

 駅の個室トイレの壁に。油性マジックで、またも見落としそうなくらい小さな文字で。昨日の事があったから、こんな小さくてもつい見つけてしまうのかもしれない。指でこすっても消えないので、放って置いた。

『コロセ』

 また見つけた。道端の電話ボックス。赤いペンで小さく。人の不幸を願う奴は、案外多いらしい。でも、殺せって、誰を?

『コロセ』

 

 まただ。コンビニの床。小さな小さな文字で。こんな所に、誰がいつ書いたんだろう。

『コロセ』

 俺のノートの隅っこに。俺、こんなこと書いたっけ?

『コロセ』

 

 俺の机。

『コロセ』

 もらったレシートの裏。

『コロセ コロセ』

 差出人不明の手紙。

 

『コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ

 コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ』

 …俺の日記帳。

 震える手でもう一つページをめくると、小さな小さな文字が書いてあった。

『コロス』

 瞬間、背後に気配を感じた。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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