短編1
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蜘蛛の糸

地獄の底の血の池で、罪深き亡者共が蠢く。

そこに、天から一本の細い糸が垂れてきた。金色に光る細い細い糸だ。

一人の亡者が糸によじ登る。

細い糸をたどり天まで行くつもりのようだ。

だが、糸に大勢の亡者共が飛び付いた。

重みで糸は切れ、亡者共は再び血の池に落ちて行くのだった…

天では、釈迦が舌打ちをした。

「あーあ、また糸が切れちゃったよ…

今のは十匹以上かかってたのになあ…」

隣にいた弥勒菩薩が残念そうに言った。

「惜しかったですねー。でも釈迦さん、この前、凄いの釣ったって聞きましたよ。」

釈迦は写メを見せながら自慢気に話した。

「13匹一気に釣ったんだ!ほら、見てみ。みんな悪そうな顔してるだろう?」

「ほう、これは見事な罪を釣りあげましたねえ。で、みんな浄化してあげたんですか?」

「いや…みんな血の池に逃がした。だって…面倒くさいじゃん…」

二人は顔を見合せて笑った。

釈迦が立ち上がり言った。

「釣りも飽きたし、針山でUFOキャッチャーでもやろうぜ!」

そして二人は血の池を後にした。

暇を持て余した神々の遊び。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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