既出だったらすみません。
===ここから
この話は長い上に後味が劇悪です。
あと、思い当たる人が居たら知らない振りと言うことで。
登場人物が多いので名前を付けますが、当然すべて仮名です。
皆さんは「生まれ変わり」を信じるだろうか?
俺は何となく、そんな事もあるかも、と思っていただけだった。
その日、俺はマサさんとコンタクトを取るために某所に向かっていた。
高速に乗るまで1時間、高速にのって3時間ほど。
その日の朝まで、俺はある「女」と2週間ほど潜伏していた。
落ち合ったマサさんは、韓国と日本での調査の結果と1枚の黄色く変色したモノクロ写真を出した。
俺の背中にぞくっと冷たいものが走った。
その写真の女は俺がガードしていた「女」、ジュリーこと姜種憲(カン ジョンホン)に瓜二つだったからだ。
話はその1ヶ月前に戻る。
俺はキムさんの会社の権(ゴン)と言う男に呼び出された。
権さんはキムさんのボディーガード4人のリーダーだった。
韓国生まれの韓国人。テコンドーの達人と言う事だ。
他の3人、文(ムン)、朴(パク)、徐(ソ)の3人は在日朝鮮人。
同じ空手道場の先輩・後輩だった。
前回の話の後に結んだ俺とキムさんの契約では、権さんと俺は同格扱いだった。
3人は明らか不満顔だった。
権さんに言われて、俺は一番若い徐とタイマンを張らされた。
徐は強かった。
結果は、俺が苦し紛れに入れた頭突きと、鼻への指入れによって痛み分けとなった。
しかし、俺はアバラを折られ、2週間ほど酷いビッコとヨーグルト等の流動食しか喰えない生活を余儀なくされた。
だが、それ以来、俺は3人と意気投合し、彼らの空手道場にも出入りするようになった。
結果的に丸く収まったのだ。
3人は恐ろしく強かった。
素手でも人を殺める事が出来る力を持っているのだろう。
そんな3人は権さんを極度に恐れていた。
刃物のような冷たい殺気と、人を萎縮させる雰囲気があって俺も苦手だった。
事務所に着くと権さんは1本のVHSのビデオテープ出し、「まずはこれを見てくれ」と言って、テープを再生し始めた。
ビデオの画質はコントラストがキツ目だが、そこそこ鮮明だった。
キングサイズのベッドの上に、フランス人形のようなヒラヒラした服を着た、黒髪の東洋人らしい少女が映っていた。
かなりの美形だ。
歳は14・5歳、いや、もう少し若いか?
男が何かを質問し、少女が答える。
やがて黒い目出し帽を被ったブリーフ姿の肥った白人の中年男性が少女に近づいた。
どうやら、これは違法なキッズポルノの類らしい。
撮影者が動いて様々なアングルから二人を映す。
それは見ていて最悪に気分の悪くなる映像だった。
やがて、アングルは定点になり、二人の男が一人の少女を犯す映像が延々と続いた。
全裸にせず、着衣のままと言うのがマニアックだった。
肥った中年の白人男性は大きいが硬さのないペニスをしつこく少女に舐めさた。
もう一人の筋肉質の体をした若い白人男性はローションを塗りたくったペニスで少女の尻を突き続けた。
やがて若い男が中年男の尻を突き、少女は突いている男の尻を舐めはじめた。
若い男が中年男性の尻に中出しした精液を少女が肛門から口で吸い出し、掌の上に吐き出すシーンになって俺は吐き気を覚えた。
やがてビデオは終わった。
俺は憮然としながら権さんに「何ですかこれは?」と聞いた。
権さんは「社長たちが仕事をしている間、私と組んで彼のガードをしてもらいたい」
俺の思考は一瞬停止した。・・・彼?・・・誰?
権さんの話だと、ビデオの男達は変態向けのエロビデオやエロ写真を撮って裏に流していた業者らしい。
そのビデオでは終始スカートを履いていたし、はだけて見えた胸も膨らんでいたので気付かなかったが、少女は・・・少年だったのだ。
この二人の犯罪の発覚は非常にショッキングだった。
モーテルの部屋で惨殺されていたのだ。
死体はかなり凄惨な状態だったようだ。
背後から銃で撃たれたあと、ナイフで切り刻まれていた。
警察によって被害者宅から無数のキッズポルノのビデオが発見された。
犯行現場に残されたビデオカメラに入っていたテープにファックシーンと共に惨殺シーンが映されていた。
違法な児童ポルノで荒稼ぎした鬼畜共は、スナッフビデオに出演してその一生を終えたのだ。
この事件は一時期、児童ポルノ業者が殺された事件として報道もされたらしい。
この2人を殺したのが彼だった。
ビデオ出演は男娼が多く立つ街角に立っていて目を付けられたらしい。
少年・種憲は「被害者」として保護観察となった。
長い期間、精神病患者として入・退院を繰り返し、保護観察期間が終ると家族と共にカナダに移住した。
キムさんはカナダの在住韓人コミュニティーの紹介でカナダに渡ったのだ。
種憲の家族構成は、養父の白人男性、韓国人の伯母。
夫妻が妻の妹の子供を引き取る形で養子となった。
渡米時の年齢は12歳。
事件は15歳の時に起したものだった。
俺は権さんに「ボディーガードなら俺より他の3人の方が適任だと思いますが」と言った。
しかし、権さんは「いや、あいつらには無理だ。
奴らは確かに腕は立つ。
ルールのあるスポーツなら私もあんたもまず勝てない。
でも、スポーツマンじゃ駄目なんだ。
パン・チョッパリは、土壇場で芯がないから駄目だ。
今回は使えない。殺されるのが落ちだ」と言った。
・・・酷い言い草だな・・・しかしそんなにヤバイのか?
「詳しい話は社長に聞いてくれ。
正直な所、私はこの仕事を下りたいよ。
虎と一緒の檻に入って見張るようなものだ。マトモな奴には無理だよ」
・・・無茶言うな・・・俺はマトモじゃないってか?・・・それも酷いような・・・
数日後、キムさんが帰国した。
そして、更に1週間後、問題の彼と母親のバーク夫人が来日した。
キムさんとバーク夫人の話を総合すると、大まかにはこう言うことだった。
彼がバーク夫妻に引き取られたのは韓国で彼が家族を失ったからだった。
彼は9歳の時に当時3歳の弟を事故で失っている。
その後、両親は離婚し、彼は母親に引き取られた。
11歳の時に父親が火事で死亡し、その後すぐに母親も自殺している。
彼の家は父方は祖父の代で一族から絶縁されており、父親に兄弟は居なかった。
母親には親族が居たが、彼の父親とは族譜上の問題があったらしい。
一族の反対を押し切る形で結婚した為、夫と同じく絶縁されていた。
彼を引き取り養育する者は、バーク氏と結婚して渡米した伯母しか居なかった。
バーク夫妻には子供はなく、彼は夫妻に歓迎された。
バーク家に来た当初、彼は一見普通の少年だった。
しかし、すぐに異変は起こった。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話