フランスの話。
ずっと前の話。
遠い昔のお話。
大きな豪邸に住む夫人は、珍しいもの好きでした。
ある日、世界に一つだけのフランス人形が欲しい、と言い、家政婦に作らせました。
家政婦はフランス人形を作り、それを夫人の元へ持っていくと、夫人は呆然としました。
なんなの!?この目のないフランス人形は……!
家政婦は言いました。
私の娘は生まれつき目が見えませんでした。リハビリの最中、野良犬に左手首を噛まれ、死にました。そんな娘をモデルとしたフランス人形です。
夫人は目のないフランス人形を見ながら、家政婦に訪ねました。
名はあるの?
はい、あります。
申しなさい。
ミーナです。
それならこの人形をミーナ人形と名付けましょう。
夫人はそう言い、ミーナ人形を部屋に飾りました。
その夜、夫人は不気味な泣き声で目が覚めました。棚のほうから聞こえてくる声。ゆっくりと棚のほうへ行くと……
ミーナ人形の目から血が流れていたのです。
きゃあああ!!!
夫人は叫び、そのまま気絶をしてしまいました。
翌朝、家来たちがミーナ人形を捨てました。人形を作った家政婦は、うつろな目でミーナ人形を見ていました。ミーナ人形はゴミ捨て場に放置されました。
しばらくして、夫人に異変が起きました。左手首が締め付けられるように痛みがする、と訴え続けていました。
人形を捨ててから二日後。夫人の左手首に噛まれたような跡ができ、まもなく亡くなりました。
ゴミ収集車の運転手の話。
ここに捨てられていた人形、腕に穴が空いてました。左の手首らへんに。
夫人が亡くなり、誰もいなくなった部屋。まだそこから泣き声が聞こえてくるそうです。
あの家政婦には見えるのです。
寂しそうにしているミーナ人形が目から血を流しながら、棚にいるのを……。
長文失礼しました。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話