大学生活にも慣れ始めた男がいた。男はいわゆるオタクで女とはあまり縁がなかった。
ある日、男がアパートに住む友人Aの所に遊びに行こうと思い電話をかけた。
男「今近くにいるんだが遊びに行っていいか?」
A「おk。今バイトだから、一時間ぐらい部屋で待っててくれ。鍵は窓の植木鉢の下だから」
男「了解!」
男がAのアパートに着くと、Aの部屋の電気がついていた。「…おかしいな」
鍵を開けようとすると、既にドアは開いていて、家の中から人の気配がする。恐る恐る部屋に入ると、台所にメガネをかけた女が立っていた。
男「…誰だお前!!」
女「ひっ!…兄さんじゃない。あなた誰!?」
……………
なんだ妹さんか。すまない僕はAの友達だ。君の兄さんのバイトが終わるまで部屋で待たせてもらう事になってるんだ。
女「そうなんですか、兄さんがお世話になってます。今、兄さんの晩御飯つくってたんです」
台所からいい匂いがするし、Aの妹は水色のエプロンをつけている。
女「テレビでも見ててください。今日は兄さんが好きなナポリタンを作ってるんです。兄さんいつもインスタントばかりだと、栄養に悪いから…」
よくできた妹さんだな。クソっ、妹萌えの俺には妬ましい限りだ。Aが帰ってきたらからかってやる。
その後30分ほど台所からAの妹は、Aについていろいろ話しかけてきた。兄さんはこの部屋でいつも夜遅くまでネットをしてる。兄さんはどこそこの店によく行く。兄さんが…兄さん兄さん兄さん
本当に兄が好きなんだな。ブラコンってやつか?
女「あ、そろそろ帰りますね。兄さん私がいると起こるから」
Aの妹は台所から顔を出すとそそくさと帰っていった。
10分後、少し疲れた顔のAが帰ってきた。
男「おかえりー。てめー俺になんであんないい子の事教えてくれなかったんだよ!」
A「は?何が?とうとう頭おかしくなったか?あ、前からかww」
男「妹だよ!萌ゆる妹さんが飯作ってくれたぞ。さっき帰ったけどな」
A「?意味分からんわ…何いってんの?」
A「…俺、一人っ子なんだけど」
少し冷めたナポリタンからは、小さな白い半月状のものが見え、鉄の匂いがした。
怖い話投稿:ホラーテラー ハルミさん
作者怖話