中編3
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友達の遺言

AとB、二人の高校生がいました。

AとBは友達同士でした。

Aはどちらかと言えば暗く、何事にも消極的な性格でした。

友達もB以外には居らず、

Bが居ないときはいつも一人でいました。

そんなAは、高校2年になるころには

イジメの標的にされるようになっていました。

一方はBは正義感が人一倍強く

曲がったことが許せない人でした。

少なくとも周りからはそう思われていました。

そんなBなのでAがイジメられていることを知ったとき

当然止めに入りました。

しかし、それがきっかけで

BもAと一緒にいじめられるようになってしまいました。

Bはその正義感のせいで、周りから少し煙たがられていたため

これ見よがしにBの周りに人は居なくなり

次第にBは無視されるような存在になりました。

そして、イジメはどんどんエスカレートしていったのです。

そんな生活が続き、AとBは次第に卒業する日を

待ち望むだけになっていました。

そんなある日、AはBに言いました。

「僕、日記をつけているんだ。」

「え?」

「その日記の中で、僕はやつらに仕返しをしているんだ。

 いつもやられている以上の事をやつらにしているんだ。

 そうしてると、不思議と気がまぎれるんだ。

 僕は、家に帰ってもそればっかりしているんだ。

 なぁB。僕はおかしくなってっしまったのかな?」

「…。大丈夫だ。じつは俺も、同じことしてるよ。」

Bは優しくAに笑いかけながら言いました。

そして事件は起きました。

Bが反抗的な態度をとったため

いつも以上に長い時間、暴行を受けたのです

Bがぐったりしていることに気づいたイジメグループは

そのまま、Aを残して逃げ帰りました。

Aはすぐに救急車を呼びました。

Bは病院に運ばれるまでの間

「呪ってやる、絶対に呪ってやる!道連れにしてやる!」

と、うめき続けていました。

Bが病院に着くとすぐに手術が始まりましたが

すでに内臓が破裂していて、どうにも手がつけられない状態でした。

手術室を出てしばらくしてから、Bは正気を取り戻しました。

そして、Aを呼んでこう言ったのです。

「カバンの中に、ノートがある。いつか話してた日記だ

 誰にも見せたくないから処分してくれ」

それからまもなく、Bは意識を失い

そして二度と目覚めることはありませんでした。

Aは、Bのカバンからノートを見つけ出しました。

「僕は見てもいいだろう?」

そうつぶやくと、Aはノートを開きました。

内容は衝撃的でした。

BはAが思っていたより、執念深く陰険でした。

直接イジメをしていた人間だけではなく

Bを無視した連中のことも書かれていました

「何年何月何日何時何分に誰が無視をした。」

といった具合に異常なほどの詳しさで書いてありました。

そしてAは後悔しました。

「誰にも見せたくない」の「誰にも」は自分も入って事に気づきました。

ノートにはこう書かれていました。

「すべてはAのせいだ、あいつなんか助けなければよかった

 Aが憎い!Aが憎い!Aが憎い!

 呪ってやる、絶対Aを呪ってやる!!」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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