信じて貰えない話ですが、実際に体験した漫画みたいな話。
「楽しそうだな、お前…」
私は、窓の外からニヤニヤ笑いながら窓を叩く男に呆れ半分で呟いた。
男と言ったが、コイツは人間じゃなくて幽霊。しかも、鳥と融合した、さしずめ鳥男…。
「無念ダ…無念ダ…」
と言いながら窓を叩く。笑いながら「無念」もクソもねーだろ!と思う。
「分カッテ…分カッテ…」
どうやら、何やら無念あって死んで、分かって欲しいらしい。
元気だったら、こんな異形の姿を見たら驚き叫ぶが、私は毎日毎日、鬼畜な家畜達(事業所の業担の先輩)に酷使されていて、日々の睡眠時間は3時間。
遂に頭がイカレたか…と思ったが、幻覚ではないらしい。
睡眠不足と過労で弱ってるところで、どこかで拾ってきてしまったらしい。
「何を分かって欲しいんだ?」
と尋ねるが、
「無念ダ…無念ダ…」
「分カッテ…分カッテ…」
としか言わない。
…無茶言うな!
地元の派遣会社の業担をしていた時に、従業員の寮に幽霊が出たという騒ぎがあり、行ったことはあるが、まさか自分が幽霊に遭遇するとは…。
しかもコイツ、鳥と融合してるせいか記憶が無いのか…私にはアホな子にしか思えない。
何故かコイツは、部屋には入れないようで、外から窓をバンバン叩く。
「分かんねーし無理!俺には何もしてやれん!他をあたれ!」
と言ったら、拗ねやがった。…なんかムカつく…可愛くねぇし。
しかし、疲労困憊な時にこんな厄介なモンに憑かれたら、間違いなく倒れてしまう。
さて、どうしたものやら…。
結局、何のヒネリも無く調べてお寺に行きました。
でも鳥男のヤツ、私がお寺に行くと分かった途端、何処かへと逃げてしまった。
完全にムダ足。
それっきり、鳥男は現れなかった。
今も何処かをさ迷ってるんだろうか?
早いとこ、成仏して欲しいが。
何のヤマもオチも無い話。
でも、実体験。
怖い話投稿:ホラーテラー 元業担さん
作者怖話