その花の名前は知っていた。
が、見るのは初めてだった。
私は暫し『そのもの』を眺めながら、「もしや……!?これが…優曇華の花!?」と固まってしまった。
母から大体の姿を聞いていた為だが自信のない私は母に電話をした。
電話口の向こうで母が短い舌打ちをした。
これで確信した。
やはり良くないものだと……
母の田舎では優曇華の花が咲くと不吉なことが起こると言われているらしい。
母は「何処に咲いてる?」と訊いてきたので、洗濯物を干すもの〜と答えると、今から行くからと言って電話を切られた。
数分後、母がきた。
わりかし私の新居と母の家は近いので有り難い。
南側の窓に掛けていた洗濯物干しに優曇華の花はぴっしりとついていた。また母は見るなり「間違いない。優曇華の花だ」と言い唖然としていた。
優曇華の花といっても本当の花ではなく、何かの虫の卵らしいのだが、姿は白くふわふわした感じで本物の花のようだ。
母は田舎にいる自分の妹に電話をして状況を説明した。
母の妹、つまり私の叔母は一通り話を聞くと「やはり良くないことが起こる可能性が大きいので充分気をつけて」と言っていた。
叔母の家でも以前に優曇華の花が咲いた時に子供が事故したりと良くないことが起こったからと。
しかし、気をつけてと言われてもアバウトすぎて笑うしかない。
正直、困った。
が、この時に胸騒ぎを覚えたのは本当だ。
数ヶ月後、胸騒ぎが現実となることとなったのだ。
怖い話投稿:ホラーテラー 桃さん
作者怖話