去年、G県の工場で働いていた時に、深夜の踏切を横切る足だけの幽霊を見てしまった。
同僚に話したら、ちょっとした騒ぎに…なんせ工場のすぐ近く。
そんな中、Hさんが「○○さん(私)、見える人なんですか?」と聞いてきた。
因みにこのHさん、天然ボケのKYで、この小さな会社にいるKYな人3人衆の一人。
製造の仕事に就いてる人は知っていると思うが、「危険予知トレーニング」を略してKYTという。
奇しくも、その工場の3大KYの名前のイニシャルがK、Y、T(Hさんの名前のイニシャル)で、その工場ではKYT=この3人。
危険予知トレーニングではなく、「空気が読めないトリオ」と称されていた。
余談はさておき…私は小さい頃から心霊体験は豊富だったので、Hさんの質問に「見えるとは限らないけど、体験は結構ありますね」と答えた。
するとHさんは、「僕も幽霊、見たことあるんですよ」と話し出した。
Hさんの高校は上下関係が厳しかった。
先輩の命令には絶対服従。
ある日、先輩の家に遊びに行ったHさんは買い出しを命じられ、同級生の友人一人と一緒に先輩の家を出た。
因みに、その友人は「見える人」。
先輩の家を出たら、おじさんが一人いた。礼儀正しいHさん、こんにちはと挨拶。
すると、友人がHさんの腕をガシッ!と掴み、
「見るな!無視しろ!」
と言って引っ張って行く。
「何だ、どうした?」
理由が解らないHさんが尋ねると、
「先輩の家の一階の部屋に、あのおじさんの遺影があった。あれは生きた人間じゃない、幽霊!」
Hさん、納得。
そのおじさん、買い物から帰った時もいたらしい。
帰ってから先輩の家に入ると、確かにさっき見たおじさんの遺影があった。
「幽霊なんて全然思わなかったんですよ。普通に、おじさんがいるなって思ったんですけどね」
余談だが、これを聞いた同僚達が、
「Hさんは幽霊に対してもKYなんだな」
と言ったので笑ってしまった。
つまらない話で、失礼しました。
怖い話投稿:ホラーテラー 元業担さん
作者怖話