幽霊と生きた人間、どっちが怖い?と尋ねられたら、迷うことなく生きた人間、と答える。
幽霊に殺されそうになったことは無いが、生きた人間には何度か殺されそうになったからだ。
数年前、プライベートな拗れから呪われたことがある。
それまでの平穏な生活が、生き地獄のような生活へと変わった。
先ず、人間関係が最悪になった。
明らかな悪意に翻弄され、人間不信に陥った。
次に、明らかに有り得ない状況で起こる事故。
連続して撮れた心霊写真。
体にも変異は及び、思い当たる理由が無いのに激しい腰痛に襲われ、朝起きた時に激痛で動くことも出来なくなった。
病院で検査を受けた結果は、椎間板が潰れて神経を圧迫していた。
そんな負担をかけた覚えは、全く無い。
腰痛は日常生活にも影響が出て、常に腰痛、歩けば電流のような痺れ。
病院に通っても、何故かことごとく「どうしようもない」と言われるだけ。
対処療法も効果無く、本気で半身不随になるのを覚悟した。
今でこそ、常に違和感はあるが日常生活に支障は無いが…。
闘病している内に、飼っていた犬が夜通し断末魔の鳴き声をあげながら苦しみ、翌朝死んだ。
動かない足で、冬の冷たい雨の中を這い回りながら…。
その姿に、自分の無力さに、惨めな気持ちを抑えられなかった。
トドメには自損事故…これも、有り得ない状況で起きた。
目の前にガードレールが迫った時、本当に走馬灯が流れ、全てがスローモーションの様に見えたのを今でも覚えている。
車は全損で廃車。
なのにかすり傷で済んだのは、守護があったからだと思っている。
数年に渡った不幸も、ある日終わりを迎えた。
呪いをかけていた相手に、不幸が還ったから…。
相手の母親は発狂、父親は病に倒れ、本人は家族の面倒を診なければならなくなり、仕事を辞めざるをえなくなった。
本当に、些細な拗れだった。
しかし、偶然では済まされない短期間で襲ってきた度重なる不幸…逆恨みとはいえ、人間の念の恐ろしさを痛感した。
怖い話投稿:ホラーテラー 元業担さん
作者怖話