■シリーズ1 2 3
続きです。
次で終わりますので、お付き合いください。
よろしくお願いします。
鍵を忘れた・・・。
かなりピンチの状態なのに、何故か僕は冷静でした。
いつもなら、下らない事でも怒鳴ったりするのに。
彼女も気が強い方なので、逆ギレでもされたら洒落にならないと、瞬時に感じたのかもしれません。
俺『ふぅー まずは脱出方法考えよっか?』
彼女『・・・うん。ごめんね』
彼女半分泣いています。
ただ脱出方法は限られています。
横浜まで鍵を取りに帰るか、金鋸(カナノコ)などでベッドを切るかくらいです。
映画みたいに、安全ピンで鍵を開けるなんて考えられないような手錠でしたし、手錠を壊すなんて到底無理な代物でした。
そして、何故かその時二人は横浜に鍵を取りに帰る案しか考えていませんでした。
時刻は夜の11時過ぎ。
横浜に帰るにしても、次の日の朝イチでタクシーで新幹線の駅へ。
そこから東京→鍵を取りに横浜のマンション→東京→新幹線で沼宮内駅(最寄りの新幹線駅)→タクシーで別荘→無事脱出。
朝イチで出れば夕方、もしくは夜には戻って来れる計算です。
俺『じゃあ、今夜はキツイけど、このまま寝よっか。』
彼女『うん。明日、少しでも早く行って帰って来るね』
その夜はそのまま寝ました。
トイレはペットボトルでした。
そして翌朝
隣で彼女が起きたのに気付き、僕も起きました。
彼女『おはよう。じゃあ準備するね』
俺『おはよう。お願いね。あっそうそう、下から携帯持って来てくれない?あと缶コーヒーもね』
彼女『うん。分かった』
彼女が部屋から出て階段を降りようとした時、
ガツッ
『ギャーッ』
ガタゴトガタンッ
そして最後に、ガンッみたいなガキッみたいな鈍い大きな音して、静かになりました。
何かにつまずいて、階段から転げ落ちた!?マジで?
俺『○美ーっ!大丈夫かーっ!』
何度も大声で叫びましたが、返事も物音ひとつも聞こえません。
さすがに今までは楽観的だった僕も焦り、一瞬で頭の中をいろいろとよぎり始めました。
横浜に帰ってる途中に事故に巻き込まれたりでもしたら、俺はこのまま死ぬんだろうなー。なんて昨晩寝る前に少し考えたりしたけど、まさかすぐ目の前で!?
携帯は下の部屋だし・・・。
しかも2月の岩手。恐ろしく寒い。
俺『このまま恥ずかしい格好で俺死ぬの?』
家族や友人の苦笑い(失笑?)を思い浮かべながら、初めて死を覚悟した瞬間でした・・・。
続きます。
次で終わります。
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怖い話投稿:ホラーテラー 安比さん
作者怖話